勤務成績の悪い社員を解雇したい!

最近、「勤務成績の悪い社員を解雇したい」というご相談を複数からいただきました。

【一般社員の場合】

”解雇”の規定といえば、労働契約法第16条です。そこには、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』とあります。

逆説的には、「客観的に合理的理由があり、社会通念上相当性があれば、解雇は認められる。」ということです。

では、『客観的に合理的理由』、『社会通念上相当』とは、どういうことでしょう。

過去の判例から、以下にまとめてみました。

① 就業規則に該当する解雇事由が記載されているか

② 勤務成績不良の程度

③ 勤務成績の判断基準の妥当性(相対評価 下位5%)

④ 同一事由による解雇者の有無

⑤ 会社の指導の有無と程度

⑥ 反省の機会の有無

⑦ 配置転換の余地の有無

会社は、該当する社員に対して、きちんと指導・教育を繰り返し、それでも「やる気を見せない」、「成績が上がらない」などという場合は、退職勧奨して、応じない場合は解雇も止む無しの手順ではないでしょうか。

【パートタイマーの場合】

パートタイマーの期間途中での解雇は、一般社員より制限されています。(労働契約法第17条)

そこには、『やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間は解雇することが出来ない』と書かれています。つまり、「よほどのことでなければ契約期間満了まで働かせなさい」ということです。

【特定地位の社員の場合】

営業部長あるいは経理部長のように、それなりの実績をもとに一定の地位と処遇を与えて採用した社員が、当初の期待した成果を出すことが出来ず期待外れだったという場合です。

この場合は、一般社員の解雇よりも多少解雇要件が広く認められる場合があります。ただし、即解雇というより、一般社員として再契約の検討も必要でしょう。

産前産後休業期間 社会保険料免除!

次世代育成支援のため、平成26年4月より産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、休業した期間の社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)が免除になります。

産前産後休業終了後、賃金が下がった場合は、産前産後休業終了後3ヵ月間の賃金をもとに、新しい標準報酬月額を決定し、その翌日から改定します。

http://www.nenkin.go.jp/n/data/service/000001674194EWe5gfHi.pdf

 

我社の経営理念

私は、2009年9月の開業以来、経営理念の必要性をずっと考え続けてきました。

「自分はなぜこの仕事を始めたのか?」「何をしたいと思っているのか?」

理念としてまとまらないまま、4年が経過してしました。

しかし、この仕事をはじめてから5年目に入ったこともあり、もう一度原点に立ち戻って考えてみました。

そして、漠然とイメージしていたものを”形”としてまとめることができましたので公開することにしました。

 

◇ 経営理念 ◇

 

【自社の三つの喜び】

  • 一の喜  お客様に感動してもらえる
  • 二の喜  職員が日々充実している
  • 三の喜  地域に貢献している

一の喜は、単に依頼された仕事を行ない報告するということではなく、報酬をいただく以上感動されるレベルの仕事をしなければならないということです。

どういう仕事が感動される仕事かといえば、具体的なものはありません。ただ、なにか特別なことをすることではなく、お客様の期待以上のもの、また期待していなかった何かができたときではないかと思っています。

「満足してもらおう」と意識してできることではないと考えています。自分にとって”こんなことが?”と思うこともお客様にとっては”うれしい”ことかもしれません。いずれにしても永遠の課題です。

二の喜は、「働く職員には、仕事も私生活も充実した日々を過ごしてもらいたい。」と考えています。 職員が不安定な精神状態で、お客様に満足し、感動を得ていただくことなどできるはずがないと考えるからです。

職員の充実感はそれぞれ異なるものでしょうが、究極は「幸福感」ではないかと考えます。

三の喜は、当然のことながら「納税という形で地域社会に貢献できる。」ことと考えます。

 

◇ 行動三原則 ◇

 

  • 誠心誠意尽くす
  • 約束は守る
  • 知ったかぶりをしない

経営理念を実現するための行動原則で、仕事をする上での”基本的な心構え”です。

これから仕事をしていくうえで、「自己満足」に陥らないよう注意し、「反省」と「感謝」の”こころ”を忘れず、毎日業務に努めなければならないと考えています。

以上が年頭にあたり、心新たに誓った思いです。

 

何がパワハラ?

先日、経営者、経営幹部向けパワハラの研修会に参加してきました。

平成24年度、厚生労働省の個別労働紛争解決制度における相談件数では、前年度までトップだった「解雇」を抜き、「いじめ・嫌がらせ」に関する相談がトップになりました。

「解雇」5万1515件(対前年度比▲10.9%)

「いじめ・嫌がらせ」5万1760件(対前年度比12.5%)

パワハラを類型別にみると(厚生労働省発表)

    1. 身体的攻撃(暴行、傷害等)
    2. 精神的攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言)
    3. 人間関係からの引き離し(隔離、仲間外し、無視)
    4. 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
    5. 過小な要求(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
    6. 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

研修会では、弁護士から「パワハラ=労災認定」された具体的判決の事例もいくつか紹介されました。

    • 日研化学事件(東京地裁平成19年10月15日判決)
    • 中部電力事件(名古屋高裁平成19年10月31日判決)
    • 川崎市水道局事件(東京高裁平成15年3月25日判決)

研修会の後半は、参加者でグループ討議しました。

参加者の皆さんは、パワハラに対する意識が高く、会社のリスクとしてどう予防すればいいか悩まれていました。

意見を交換している中で、パワハラの多い会社と少ない会社があることが分かりました。

一例ですが、多い会社は、技術系、又は職人を雇用している会社です。安全上、技術の伝承等つい声が荒くなってしまうようです。

一方、社長や経営幹部自らがパワハラを発生させないという意識の高い会社や、職場内でコミュニケーションをとるように努めている会社(飲み会も含めて)は少ないようです。

対策としては、経営トップが「パワハラを発生させない。」という強い意識と社内へのメッセージが必要です。

パワハラ予防やパワハラと感じた時の社内相談先(直接社長まで)を書いた紙片を定期的に給与明細に同封して渡す会社がありました。

注意する場合はトラブル予防のために録音して注意する、あるいは従業員に録音されていても大丈夫という言葉使い(意識)で注意することが大切です。

最近は、従業員本人よりその両親から「パワハラではないか。」と電話がくることもあるそうです。

一度問題が発生し、相手の主張が認められると多額の損害賠償額が請求されます。

会社は、これらのリスクを低減するために日頃から社内研修・教育や社内規程づくりが重要です。

ご質問、ご相談等ありましたらお問い合わせください。

 

固定時間外手当の導入と問題点

労働基準法37条では労働者の時間外労働、休日労働、深夜労働(以下「時間外労働」)に対して、会社に割増賃金の支払義務を規定しています。

賃金計算を簡略化するため、時間外労働が一定の時間に満たない場合でも、基本給に時間外労働分を含める、あるいは定額の時間外労働賃金を支払う固定時間外手当制度を導入している会社が多くあります。

この導入自体は、労務管理上の便宜を図るうえで問題はありませんが、労働時間の把握と管理をきちんとしていることが重要です。

会社として固定時間外手当制度を導入するに当たっては、① 就業規則・賃金規程等に導入する旨規定すること、② 労働時間の把握・管理を徹底することです。

基本給を多額に見せて、実際にはその半額が時間外労働の固定部分にしていくら時間外労働をしても割増賃金を支払って貰えないとか、労働時間の管理がされておらず、定額の時間外手当以上に時間外労働したにも関わらず、定額の手当しか支払って貰えないといったトラブルが多数発生しています。

このようなトラブルを避けるためには、基本給に時間外労働賃金を含める場合は、通常の労働時間部分はいくらで、時間外労働時間部分の割増賃金部分がいくらかを明確にすることです。

また定額の時間外手当を支払う場合は、① 実質的にその手当が時間外労働の手当としての性格を持っている ② 給与明細に、支給対象の時間外労働時間数と手当額が明示され、時間外労働時間数が手当額を超えた場合は、別途清算を行なう必要があります。

1ヵ月の時間外労働時間を80~100時間と見越して定額手当を設定した場合、「長時間労働を前提とした定額手当制度は、労働者に過重労働を課す危険性があり公序良俗に反する。」という意見があり、裁判では、会社が”95時間分の時間外労働としての手当”と主張したのに対して、労働基準法36条及び「時間外労働の限度基準」から月45時間分の手当に相当とするとした例もあります。(ザ・ウィンザー・ホテルズインターナショナル事件札幌高裁H24.10.19)

昨今のブラック企業と称される企業の実態は不明ですが、いぜれにしても労使間のトラブルは双方に多大な不利益をもたらします。

高年法改正に伴う65歳の退職日をいつにしますか?

各企業は、高年齢者雇用安定法の改正により本年4月1日から原則として65歳まで従業員の雇用が義務づけられました。

それに合わせて就業規則の「定年等」の規定も見直しが必要になります。

では、就業規則の退職日をどのように規定しますか?

  • 退職日は、65歳に達した日とする。
  • 退職日は、65歳に達した日の属する月の末日とする。
  • 退職日は、65歳に達した日以後、最初に到達する3月31日とする。

民法では、「65歳に達した日」とは、「65歳の誕生日の前日」とみます。(第143条)

雇用保険法は、65歳に達した日に退職した場合は、それまで何十年勤務していたとしても「高年齢求職者給付金」(最高で基本手当の50日分)しか支給されません。

そのため通常考える失業時の基本手当(150日分、120日分あるいは90日分)を受給しようとする場合、65歳誕生日の前々日までに退職しなければなりません。

また、その時の退職理由が、「自己都合退職」になってしまうと、支給開始まで3か月待たなければなりません。

ひとつの案ですが、60歳以降1年ずつ契約更新をした場合、最後の年の契約は11カ月の契約期間とし、64歳11カ月で退職とします。

そうすれば契約期間満了による退職となり、さらに65歳の前々日の2つの要件がクリアされると考えます。

ハローワークの担当者は、どう判断してくれるでしょうか。

労働・社会保険料率の最新情報!

◇ 平成25年度の北海道地区健康保険料率が決定しました。

  • 健康保険料率 10.12%
  • 介護保険料率  1.55%

◇ 平成25年度の雇用保険料率は以下の通り(見込み)※前年度と同じ

  • 一般の事業      1.35%(労働者負担0.5% 事業主負担0.85%)
  • 農林水産・清酒製造業  1.55%(労働者負担0.6% 事業主負担0.95%)
  • 建設業        1.65%(労働者負担0.6% 事業主負担1.05%)

書き込みは久しぶりです。

昨年後半から業務が集中していましたが、少し余裕ができましたのでまた書き込みをしていきたいと思います。

ちょっとしたきっかけで名刺交換をさせていただいた複数の経営者様から、「就業規則はあるけれどこのままでいいのか漠然と不安を持っている。」というご相談がありました。

採用時の注意点、勤務時間の管理、年休の与え方、従業員の勤務態度、退職手続の注意点等具体的な質問がありました。

この際、就業規則を見直そうということになり、今回お手伝いをさせていただいています。

他にも労務管理等で悩んでいらっしゃる経営者様は、まだいっぱいいらっしゃるでしょう。

御縁あってどこかでお会いできればうれしく思います。

「育児・介護」制度の利用実績

厚生労働省が発表した、(1)育児休業制度、(2)短時間勤務制度、(3)所定外労働の免除、(4)子の看護休暇制度、(5)介護休業制度、(6)介護休暇制度 の利用実績(平成23年4月1日から12月31日まで)調査結果によると、正社員による(1)育児休業制度の利用実績は5割以上で、非正規社員でも201~300人規模の企業では2割を超えました。

しかし、その他の制度は、(2)短時間勤務制度の利用実績が201~300人規模の正社員で約45%、(3)所定外労働の免除~(6)介護休暇制度はいずれも「利用者はいない」が50%超と、制度によってバラつきがありました。

男子正社員の実績を見てみると、(4)子の看護休暇制度の利用実績が101~200人規模の企業で4.6%、201~300人規模で9.0%と(1)育児休業制度の利用実績を上回っていました。

非正規男子社員は、全体に制度の利用率は低いですが、そのなかで(4)子の看護休暇制度は、101~200人規模の企業で0.2%、201~300人規模で0.9%と比較的利用されていました。

今回の調査で、201~300人規模の女性正社員の(1)育児休業制度の利用が80%に対して、同規模女性正社員の(5)介護休業制度 6.1%、(6)介護休暇制度 5.5%と大きな開きがありました。育児より「対象者がいない」ことが要因の一つではあると思いますが、利用が進んでいないとも考えられます。