就業規則見直しで思うこと!

みなさん、こんにちは。

最近、就業規則見直しの御相談をお受けする機会が続きました。

多くの社長は、きちんと就業規則を作成されています。

そしてご相談のあった会社の共通しているところは、『設立後1~2年であること』と『モデルの就業規則をインターネットからダウンロードしていること』です。

さらにこれらの会社の規模は、設立後間もないため従業員数は10人未満ですが、その就業規則には必ず『特別休暇』と『休職』の条文が書かれています。

そこで私は、次のように質問します。

「”特別休暇”と”休職”が書かれていますが、労働基準法では定められた法律ではありません。それでも会社では”特別休暇”とか”休職”をきちんと決めているのですね。」

すると全員の社長がおっしゃいます。

「”特別休暇”とか”休職”は、就業規則に書かなくてもいいんですか?じゃぁ、削除してもいいですね。」

でもちょっと待ってください。

そもそも就業規則とは、『会社のルール』として社長が定めたものです。就業規則を作成した以上は、従業員が10人未満であれば労働基準監督署に届出ていなくても従業員には周知しているはずです。

就業規則に書かれている”特別休暇”や”休職”の規定を削除するということは、『労働条件の変更』つまり不利益変更になってしまいます。

”労働条件の変更(不利益変更)”は、過去の判例に基づき労働契約法第8条、9条、10条で定められています。

要約すると、

① 労働条件の変更は、原則として労使の合意による。

② 就業規則による労働条件の変更は、原則認められない。

③ 例外として、変更内容が合理的であり、労働者に周知したときは、就業規則を変更することができる。

ということです。

上記③の合理的理由とは、

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況
  • その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものである場合等

と定められています。

つまり、就業規則に書かれた従業員にとって有利な条件は、社長の一方的な都合で変更することはできないということです。

ここで私がお伝えしたいことは、就業規則を作成する場合は最初が肝心だということです。

たしかに就業規則の作成を社会保険労務士等の専門家に依頼すると報酬が発生します。ですからモデルの就業規則をダウンロードして作成することは理解できます。

でも最後はやはり専門家に、自社の現在の就業規則としてふさわしい内容であるか相談をすることをおすすめします。それが結局は、会社の利益に繋がると考えるからです。

 

 

パートタイマーの社会保険が適用拡大になります!

みなさん、こんにちは。

今回は、パートタイマーの社会保険の法改正について記載します。

もう忘れている方が多いと思いますが、「社会保障と税の一体改革」と呼ばれる社会保障制度の改革の中で、平成24年8月、パートタイマーに対する厚生年金保険の適用範囲を拡大する法律が成立しました。

そして今年(平成28年10月)、その法律が施行されます。

その内容とは、現行の基準(目安)である

・1日又は1週間の所定労働時間が、正社員の所定労働時間の3/4以上であること。

・1か月の所定労働日数が、正社員の所定労働日数の3/4以上であること。

という被保険者の資格要件に該当しなくても、以下の要件を満たせば、社会保険の適用となります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 年収が106万円以上(月収が8.8万円以上)
  3. 雇用期間が1年以上
  4. 従業員数が501人以上(3年後に500人以下も適用を検討)

これらをもとに事業主負担を試算(給与10万円/月)してみますと、

10万円×12月=120万円/年間

厚生年金保険料率(平成27年9月~)  17.828%

健康保険料率・介護保険料率     約10~12%

120万円×(28%~30%)=336,000円~360,000円

(336,000円~360,000円)×1/2=168,000円~180,000円(年間事業主負担)

となります。

もし新基準に該当するパートタイマーが100人いれば負担は、最低でも16,800,000円です。

501人以上の大企業は、早急に対策が必要です。

また現在500人以下の中小企業も3年はあっという間に経過します。

その時になってアタフタしないためにも、今から対策を検討しておきましょう。

参考資料をご確認ください。

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/sodan/siryo/25_part-time_honbun_dai11sho.pdf#search=’%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%BC+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA+%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81′

マイナンバー制度の法改正がありました。

みなさん、こんにちは。

新年があけてからもう1か月が過ぎてしまいました。

同時にマイナンバー制度がスタートしましたが、皆さんの事業所では順調に対応できていますか?

今回は、法改正がありましたのでご確認ください。

改正点は、2点です。

1.源泉徴収票にマイナンバーの記載を義務付ける。(所得税法施行規則93条1項1号)

2.雇用保険被保険者の届出にマイナンバーの記載を義務付ける。(雇用保険法施行規則6条1項)

 

従来は、所得税法、雇用保険法ともこれらの規定はなく、番号法を根拠に『努力義務』としていました。

従業員のなかには、あくまでも番号の提供を拒否する方がいらっしゃると思います。

その従業員に対しては、この制度の主旨を繰り返し説明し、協力を求めることが必要です。

またこほ法律を根拠に、罰することはできないというのが多くの弁護士の見解です。

行政機関は、当面、番号の不記載のままでも受け付けるそうです。

しばらくは、混乱が続くと予想されます。