最近、「勤務成績の悪い社員を解雇したい」というご相談を複数からいただきました。
【一般社員の場合】
”解雇”の規定といえば、労働契約法第16条です。そこには、『解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。』とあります。
逆説的には、「客観的に合理的理由があり、社会通念上相当性があれば、解雇は認められる。」ということです。
では、『客観的に合理的理由』、『社会通念上相当』とは、どういうことでしょう。
過去の判例から、以下にまとめてみました。
① 就業規則に該当する解雇事由が記載されているか
② 勤務成績不良の程度
③ 勤務成績の判断基準の妥当性(相対評価 下位5%)
④ 同一事由による解雇者の有無
⑤ 会社の指導の有無と程度
⑥ 反省の機会の有無
⑦ 配置転換の余地の有無
会社は、該当する社員に対して、きちんと指導・教育を繰り返し、それでも「やる気を見せない」、「成績が上がらない」などという場合は、退職勧奨して、応じない場合は解雇も止む無しの手順ではないでしょうか。
【パートタイマーの場合】
パートタイマーの期間途中での解雇は、一般社員より制限されています。(労働契約法第17条)
そこには、『やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間は解雇することが出来ない』と書かれています。つまり、「よほどのことでなければ契約期間満了まで働かせなさい」ということです。
【特定地位の社員の場合】
営業部長あるいは経理部長のように、それなりの実績をもとに一定の地位と処遇を与えて採用した社員が、当初の期待した成果を出すことが出来ず期待外れだったという場合です。
この場合は、一般社員の解雇よりも多少解雇要件が広く認められる場合があります。ただし、即解雇というより、一般社員として再契約の検討も必要でしょう。