65歳以上も雇用保険料の徴収と納付が必要です。(法改正)

みなさん、こんにちは。

2017年1月1日から65歳以上の労働者も以下の条件を満たせば

「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されるようになりました。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上あり
  2. 31日以上の雇用が見込まれること

但し、保険料の徴収については2020年3月31日まで

会社も本人も免除されていました。

 

しかし、2020年4月1日からは免除が廃止されたため

会社は、65歳以上の労働者からも本人負担分の保険料を徴収

することになります。

 

そこで、労働者からの保険料徴収時期ですが、

例えば、「毎月末日締め、翌月25日支払い」の場合は、

3月末日締めの給与は、2019年度に属しますので

4月に支払う給与から徴収する必要はなく、

4月末日締め 5月25日支払いの給与から

徴収すればいいということになります。

 

もう一つ、雇用保険に関する法改正をご紹介します。

2020年8月1日施行で、

失業等給付を受給する際の基礎となる被保険者期間について、

従来は、「賃金支払いの基礎となる日数が11日以上である月」

となっていますが、施行後は

「基礎となる日数が11日以上又は

賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上である月」

と要件が緩和されます。

離職票作成の際、ご注意ください。

 

最後に、令和2年度の雇用保険料率は、前年度と変更がないことを

確認しました。

 

以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行政のデジタル化とマイナンバー制度の見直し

このページの書き込みをしばらくさぼっていましたが、

みなさん、明けましておめでとうございます。

新年を迎え、今年1年いい年になるようお祈り申し上げます。

 

早速ですが、国はこれまで書面での提出が必須だった行政手続を原則オンラインで

処理できるようにして業務の簡素化・効率化を図るデジタル化を目指しています。

具体的には、2018年度からすでにスタートしており2023年度末までに普及させること

を念頭に置いています。

 

□デジタル化の基本原則
  1. デジタルファースト‥‥個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
  2. ワンスオンリー‥‥‥‥一度提出した書類は、二度提出することを不要とする
  3. コネクテッドワンストップ‥民間サービスを含めて複数の手続・サービスをワンストップで実現する
□行政手続の原則オンライン化
  1. 行政手続(申請や申請に基づく処分通知)はオンラインを原則とし、対面・書類は撤廃
  2. 本人確認や手数料納付もオンラインで実施(電子署名・電子申請)
□添付書類の廃棄
  1. 登記事項証明書の添付省略
  2. 住民票の写し・戸籍謄抄本提出の原則不要化
  3. 法人番号・個人番号等を活用
□行政手続きに係る民間手続のワンストップ化
  1. 主要三分野を先行してワンストップを実現(引っ越し、介護、死亡相続)
□マイナンバー制度の見直し
  1. 国外転出者もマイナンバーカードを利用できる
  2. マイナンバーカードを戸籍事務(法務省)に活用できる
  3. マイナンバーカードを健康保険証として利用できる
  4. マイナンバーカードの普及促進(通知カードを廃止)
□資本金1億円超の法人は電子申請義務化
  1. 2020年4月から資本金1億円超の法人は、社会保険・労働保険手続の一部について電子申請が義務化

 

国はこれらの法整備をすすめ、2~3年以内のデジタル化推進を計画しています。

我々利用者は、今後利便性を実感できるかどうか見守りたいと思います。

 

 

 

 

労基署の定期監督とは

みなさん、こんにちは。

先日、労働基準監督署の定期監督(突然の訪問)を受けた事業者様と

お話しする機会がありました。

そのとき指摘された主な事項は、

  1. 労働時間の適正な把握
  2. 未払い残業代の有無
  3. 定期健康診断において異常の所見があった労働者に対する医師の意見聴取
  4. 賃金控除の労使協定の有無

などです。

 

一つ目の労働時間の適正把握は、

労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)により

法律で初めて義務(罰則はなし)が明記されました。

条文のなかにある『厚生労働省令で定める方法』とは、

労働安全衛生法施行規則第52条の7の3に

タイムカード、パソコンによる記録など『客観的な方法』と規定があり、

また3年間保存が義務となっています。

 

当該事業所は、労働基準監督署から労働時間の把握・管理について

客観的に適正であることの説明を求められています。

仮に、始業時刻より1時間前に出社していたり、

あるいは終業時刻から1時間後に打刻されたタイムカードがあった場合、

正当な理由を説明できなければ、未払い残業代があると判断される可能性が

あります。

 

三番目の定期健診における異常の所見がある労働者に対する医師の意見を聴くことや

四番目の賃金控除の労使協定作成は、労務管理のなかで見落としがちな点です。

 

みなさんの会社では、いかがでしょうか?

 

 

 

働き方改革関連法のポイント(2)

みなさん、こんにちは。

今回は、働き方改革関連法の「同一労働同一賃金」について掲載します。

 

[現行法]

〇労働契約法20条(有期雇用労働者)

①職務の内容

②転勤など配置の変更範囲

③その他の事情

上記3つを考慮して不合理と認められるものであってはならない(均衡待遇)

 

〇パートタイム労働法9条(短時間労働者)

①職務の内容

②転勤など配置の変更範囲

上記2つを理由に差別的取り扱いをしてはならない(均等待遇)

 

とそれぞれ規定があります。

 

[新 法]  2020年4月1日(中小企業2021年4月1日)施行

〇パートタイム・有期雇用労働法

労働契約法20条 → 8条(均衡待遇)

パートタイム労働法9条 → 9条(均等待遇)

 

と、新しい法律が制定されます。

 

最近注目された裁判に、「長澤運輸事件」、「ハマキョウレックス事件」

があります。いずれも、労働契約法20条が争点になりました。

 

[長澤運輸事件]

定年後再雇用の賃金格差について争われました。

結論から言いますと、『賞与も含めた賃金の格差は、年収でみると2割程度の格差で

あり不合理とはいえない』と不合理性を否定しました。

ただし、『”精勤手当”は、職務内容が同一であれば、嘱託職員に対する不支給は

不合理である』と判断されました。

 

[ハマキョウレックス事件]

正社員と契約社員との待遇格差について争われました。そして6つの手当のうち、

5つの手当が違法と判断されました。

・住宅手当・・適法=転勤の有無が支給要件であり不合理な格差に当たらない

・無事故手当・・違法=安全運転、事故防止が目的

・作業手当・・違法=特定の作業による成果は同じ

・給食手当・・違法=食事は人としての生理現象

・皆勤手当・・違法=会社として皆勤を奨励している

・通勤手当・・違法=通勤に係る費用に差異はない

 

繰り返しになりますが、上記2つの最高裁判決は、現行法の ”労働契約法20条”

に基づき判断しています。

当然、2年(中小企業3年)後の「パートタイム・有期雇用労働法」に対する

準備はすすめなければなりませんが、

現時点でも労働契約法が適用されるわけですから自社の待遇格差を

認識されている方は、現行法(労働契約法20条)を念頭に対策を

考えなければなりません。

 

最後に、労使紛争に発展する前に労使合意により解決した事例をご紹介します。

[日本郵政]

・年始開始手当・・非正規社員にも支給することを決定

・住宅手当・・正社員への支給を廃止

住宅手当の廃止は、”労働条件の不利益変更”にあたり、労働条件の急激な低下を

回避するため今後10年かけて徐々に削減していくことで合意しました。

 

これから1~3年の間に、

✓年休は5日間付与しなければならない

✓労働時間を管理し、時間外労働を削減しなければならない

✓正職員とパートの賃金等待遇格差を解消しなければならない

など、特に中小企業にとっては社内体制の大改革が必要になります。

その時になって慌てないよう、いまから少しずつ準備をすすめましょう。

 

 

 

働き方価格関連法のポイント(1)

みなさん、こんにちは。

6月29日、「働き方改革関連法」が国会で成立しました。

戦後最大の労働改革と言われる今回の改正ですが、

『成長と分配の好循環』を目指す安倍政権の経済政策といえます。

詳細なガイドラインはこれからですが、労働時間に関するもので現時点で

把握している内容を掲載します。

(中小企業中心)

 

 

1.使用者の年休付与義務(労基法39条)

2019年4月1日施行(大企業、中小企業とも同時)

〇 使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、

毎年5日、時季を指定して年休を付与する義務を負う

会社は、年休付与の一括管理が必要となる

米 罰則あり = 30万円以下の罰金(労基法120条1号)

米 労働者の時季指定や計画年休により消化された分は5日に含めてよい

 

 

2.労働時間の上限規制(労基法36条)

2020年4月1日施行(大企業は2019年4月1日施行)

〇 時間外労働の上限時間

  [原則] 月45時間、年360時間(休日労働は除く)

  [臨時的な事情で労使協定]

  ・単月 100時間未満(休日労働を含む)

  ・2か月平均~6か月平均で月80時間以下(休日労働を含む)

  ・年720時間以下(休日労働を除く)

  ・原則(月45時間)を超えるのは年6か月まで

米 「月45時間 6か月まで」は、今後労基署が重点的にチェックする

予定とのこと

 

 

3.中小企業における割増賃金引き上げの猶予措置を廃止(労基法37条、138条)

2023年4月1日施行(大企業は実施済み)

〇 月60時間超の時間外労働に対する割増率(50%以上)の中小企業への

猶予措置を廃止

 

 

4.労働時間の適正把握義務(労働安全衛生法66条の8の3)

〇 事業者は、労働時間の状況を使用者の現認や客観的な方法

(タイムカード等)により把握しなければならない

米 自己申告の場合は、実態とあっているかを確認しなければならない

米 管理監督者や裁量労働適用者も対象

米 罰則はなし。ただし、民法(第709条(不法行為による損害賠償)、

第715条(使用者等の責任))等により損害賠償を求められる可能性がある

 

 

5.高度プロフェッショナル制度の創設(労基法41条の2)

省 略

 

 

6.勤務間インターバル制度の普及促進(労働時間等設定改善法2条)

〇 事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定期間の休息の

確保に努めなければならない(努力義務)

〇 「時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」

(厚労省ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html

 

 

 

以上、簡単にご紹介しました。

直近では、来年4月には年5日の年休付与を実施しなければなりません。

さらに1年半後には労働時間の管理と、時間的な余裕はありません。

現在できることから準備されることをおすすめします。

(次回は、同一労働同一賃金について掲載します。)

 

 

 

 

パートタイム労働法改正!

パートタイム労働法が、平成27年4月1日改正施行されます。

今回の改正のポイントは、次の3つです。

  1. パートタイマーの公正な待遇の確保
  2. パートタイマーに対する納得性を高める措置の拡充
  3. パートタイム労働法違反事業者に対する厚生労働大臣の勧告・公表

 

パートタイマーの公正な待遇の確保を目的に、第8条(短時間労働者の待遇の原則)が新設されました。

『公正な待遇の確保』とは具体的には、パートタイマーの処遇が正社員と相違する場合は、①職務の内容(業務内容や責任の程度)、②配置の変更等人材活用の仕組み、③その他の事情等を考慮して不合理なものであってはならない、ということです。③の『その他の事情』とは、”従来からの労使慣行”が考えられます。

また、改正前の第8条で規定された正社員との差別的取扱いの禁止規定では

  1. 職務の内容が正社員と同一
  2. 人材活用の仕組みが正社員と同一
  3. 無期労働契約を締結している

という三つの要件をすべて満たしたパートタイマーが差別的取扱い禁止の対象でしたが、今回の改正により第9条(旧8条が移行)で、(3)が削除となり(1)と(2)の要件だけで差別的取扱いが禁止されるパートタイマーに該当する可能性が高くなります。

二つ目の改正ポイントは、パートタイマーを雇用したときには、①賃金制度はどのようになっているか(賃金の決定方法)、②どのような教育訓練があるか、③どの福利厚生施設が利用できるか、④正社員転換制度があるか、などを個別に、あるいはまとめて説明会等で説明する必要があります(第14条1項)。

また雇入れ後、パートタイマーから、①賃金はどの要素をどう勘案して決定しているのか、②どの教育訓練・福利厚生施設が使え、使えないものは何故使えないのか、など説明を求められた場合は説明しなければなりません(第14条2項)。合わせてこれらの説明を求めたことを理由に不利益な取扱いをすることも禁止です。

さらに、雇入れ時の書面(労働条件通知書等)には、『相談窓口』(「相談担当部署」、「相談担当役職」、「相談担当者氏名」)を記載することが義務づけられました。

三つ目の改正ポイントは、これらの法律に違反した事業主に対して、厚生労働大臣が勧告し、さらに従わなかった事業主については公表することができます。また、パートタイム労働法に基づく報告をしなかったり、虚偽の報告をした場合は、20万円以下の過料に処せられます。

以上、簡単にまとめてみました。

以下も参考にしてください。

http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/dl/tp0605-1o_01.pdf

労働安全衛生法一部改正

☐ 全従業員にストレスチェック義務化!

 

2014年6月、労働安全衛生法の一部が改正されました。

その中で、一番の注目が”ストレスチェック”です。

従来のメンタルヘルス対策から、一歩踏み込んだ内容です。

主要ポイントは、以下の3つです。

1.従業員50人以上の事業所は、1年に1回、医師によるストレスチェックの実施を義務付けられました。(50人未満の事業所は、努力義務)

2.事業所は、ストレスチェックの結果を従業員に通知して、従業員が希望した場合は医師による面接指導を実施しなければなりません。

3.その結果、医師の意見を聴いたうえで、必要な場合は、作業の転換、労働時間の短縮、その他適切な措置を取らなければなりません。

 

☐ ストレスチェックとは、どんな検査?

 

ストレスの症状を確認する項目は、厚生労働省が「労働安全衛生研究所『ストレスに関する症状・不調として確認することが適当な項目等に関する調査研究』報告書」(2012年10月)の資料をもとに9項目が設定されました。(追加項目も検討されているようです。)

< 疲 労 >

    1. ひどく疲れた
    2. へとへとだ
    3. だるい

< 不 安 >

    1. 気が張り詰めている
    2. 不安だ
    3. 落ち着かない

< 抑うつ >

    1. ゆううつだ
    2. 何をするのも面倒だ
    3. 気分が晴れない

 

この9項目をそれぞれ4段階に分けて点数を設け

(1)ほとんどなかった・・・・・・・ 1点

(2)ときどきあった・・・・・・・・ 2点

(3)しばしばあった・・・・・・・・ 3点

(4)ほとんどいつもあった・・・・・ 4点

 

これらの該当する点数を合計してストレス状態を判定します。当然点数が高い方がストレス度は高くなります。

施行日(2015年12月までのいずれかの時期)までには、見直し、追加も検討されていますが、各事業所は対策が必要になります。

 

改正高年齢者雇用安定法

改正高年齢者雇用安定法が今年8月29日に成立し、来年4月1日から施行されます。

大きな改正点は、「継続雇用制度の対象者を限定できる」から、原則として「希望者全員を継続雇用制度の対象者にしなければならない。」義務になりました。

ただし、「例外」も検討されており

  • 「心身の故障のため業務に耐えられないと認められること」、「勤務態度が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないこと」等、就業規則に定める解雇事由または退職事由に該当する場合
  • 就業規則に定める解雇事由または退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として別に規程を作成する
  • 継続雇用しないことについて、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる

上記内容は、11月以降具体的に厚生労働省から発表になる予定です。

いずれにしても、会社として来年4月以降に定年を迎える個々の従業員について、継続雇用(再雇用)の対象とするのか、しないのか、継続雇用(再雇用)する場合の処遇(賃金等)をどのようにするか等あらかじめ検討しておく必要があります。

7月1日より「改正育児・介護休業法」が全面施行!

就業規則の見直しはお済みですか?

厚生労働省は、”男女ともに仕事と家庭と両立できる働き方”の実現を目指して、2009年に「育児・介護休業法」を改正しました。

これまでは、従業員100人以下の中小企業は一部適用が猶予されていましたが、7月1日からはすべての企業が対象となりました。

今後、中小企業も適用となる制度は次の3つです。

  1. 短時間勤務制度 歳までの子を養育する従業員に対しては、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する制度を設けなければなりません。
  2. 所定外労働の制限 3歳に満たない子を養育する従業員が申し出た場合には、所定労働時間を超えて労働させてはいけません。
  3. 介護休暇 家族の介護や世話を行う従業員が申し出た場合には、1日単位での休暇取得を許可しなければなりません。日数は、介護する家族一人に対して年に5日、二人以上ならば10日となります。

対象となる中小企業は、就業規則にこれらの制度を定めて、従業員に周知しなければなりませんのでご注意ください。

育児・介護休業法改正

平成24年7月1日より育児・介護休業法が改正されます。

改正点は、これまで従業員100人以下の会社では猶予されていた以下の点がすべての会社に適用となります。制度導入と同時に就業規則に記載し、従業員に周知しなければなりません。

1. 短時間勤務制度

  • 会社は、3歳未満の子を養育する従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならない。
  • 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則6時間とする。

2. 所定外労働の制限

  • 会社は、3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはいけない。

3. 介護休暇

  • 要介護状態にある家族の介護や世話をしている従業員は、会社に申し出ることにより、介護する家族が1人の場合は年に5日、2人以上の場合は年に10日まで休暇を取得することができる。

改正施行まであと6カ月ほどですが、すぐに月日が経ちますので今から準備をお勧めします。