有期社員の無期転換準備は始めていますか?

みなさん、こんにちは。

平成25年4月1日に施行された『有期契約労働者』の「無期労働契約への転換」実施(平成30年4月1日)まであと1年余りとなりました。最後の1年間の契約更新をどうするか、社内ルール(就業規則、雇用契約内容等)の見直しなど会社としての基本的な方向性は定まったでしょうか?

参考資料(無期転換のハンドブック)

http://muki.mhlw.go.jp/policy/handbook.pdf#search=%27%E6%9C%89%E6%9C%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E7%84%A1%E6%9C%9F%E8%BB%A2%E6%8F%9B%E6%BA%96%E5%82%99%27

対応を考えるうえで根拠となる法律が「労働契約法」の

  • 第17条(契約期間中の解雇等)

原則として、契約期間満了まで解雇できない。

  • 第18条(無期労働契約への転換)

労働者が無期転換の申込をした場合は、会社は、その申し込みを承認したものとみなす。

  • 第19条(有期労働契約の更新(雇止め))

雇止めをする場合は、客観的で合理的な理由が必要。

  • 第20条(不合理な労働条件の禁止)

正社員と有期契約社員との労働条件の相違に不合理なものは認められない。

 

などです。

そのうえで無期転換する場合、無期転換者を正社員と同条件にする必要はない(勤務時間、賃金、勤務地などは従来と同条件で可)ことを理解して今後の対応について検討することをおすすめします。

また就業規則などを整備するにあたって、正社員就業規則の適用範囲に「無期転換社員」を適用しないよう除外規定を追記し、さらに

  1. 転換後の勤務条件(業務内容)変更があり得ることを明文化する
  2. 転換する場合の手続を明文化する
  3. 転換後の定年年齢を明文化する

なども合わせて規定した方がいいと考えます。

以上、参考になれば幸いです。

 

 

”雇止め”も予告や予告手当は必要か?

みなさん、こんにちは。

今回は、有期契約労働者を契約期間満了による雇止めをしようとする場合には、正社員と同様に解雇予告や解雇予告手当に相当する手続や手当が必要かを確認したいと思います。

会社は、従業員を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前までにその予告を行わなければならず、30日前までに予告しない場合は、平均賃金の30日分以上の賃金を支払わなければなりません。(労基法第20条1項)

なお、適用除外として以下の4つが定められています。

  1. 日々雇い入れられる者(1ヶ月を越えたら必要)
  2. 2か月以内の期間を定めて使用される者(2か月を越えたら必要)
  3. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(4か月を越えたら必要)
  4. 試用期間中の者(⒕日を越えたら必要)

問題は、契約期間満了により終了させる場合にも”解雇予告”は必要かということです。

労基法上の義務は、あくまでも『解雇』に関する規定であり、契約期間満了の場合にまで類推適用することはできないため、労基法上の予告義務はないと解されています。

そこで、『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』(平成15.10.22 厚労省告示第357号)を確認しますと、以下の場合には契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないと定めています。(予め契約更新しない旨が明示されている場合は除く)

  1. 3回以上更新されている場合
  2. 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新又は反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して1年を越える場合
  3. 1年を越える契約期間の労働契約を締結している場合

しかしこの基準は、雇止めの予告をすることは定めていますが、解雇予告手当の支払い義務についてはなんら規定していません。ということは、契約期間満了の30日前までに予告をしなかったとしても、解雇予告手当を支払う義務はないということです。

上記の基準は、労基法第14条(契約期間等)2項に基づく基準であり、また、労基法第120条には、労基法第14条に違反した場合には、30万円の罰金に処する旨規定があることから罰則が適用されるとも考えられます。

しかし他方で、労基法第14条3項には、「行政官庁は、前項基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。」と定め、基準に基づく行政指導を行うことが明言されています。

以上から上記基準は、行政指導を行うための行政基準と考えられ、基準に反して雇止め予告を行わなかったことを理由に即罰則が適用される可能性は低いと考えます。(以上、「日本法令 ビジネスガイド2月号 弁護士 平井 彩氏(石嵜・山中綜合法律事務所)」解説から引用)

最後に私見ですが、いずれにしても罰則の有無にかかわらず、昨今の正社員と有期契約社員との格差是正(待遇見直し)の傾向を考えますと、30日前までに雇止め予告をすることが適切であり、また30日前までに予告をしなかった場合には、義務はないとしても「解雇予告手当」相当を支払う方向で検討された方がいいと考えます。

労働基準監督署の是正勧告

先日、ある事業所が労働基準監督署から2点是正勧告を受けました。

ひとつは労働契約書に書かなければならない項目が書いていないという不備があったことです。

労働基準法15条で『労働契約を締結する際は労働条件を明示する』ことが、さらに労働基準法施行規則5条で、労働契約書に記載しなければならない項目(絶対的記載事項)が定められています。

    1. 労働契約の期間
    2. 就業の場所及び従事すべき業務
    3. 始業及び終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇等
    4. 賃金、計算及び支払方法、締切及び支払時期、昇給
    5. 退職(解雇事由を含む)
    6. その他会社で定めが有る事項

 

二つ目は労働者名簿を作成していませんでした。

労働者名簿の作成は、労働基準法107条に定められており、施行規則53条には

    1. 性別
    2. 住所
    3. 従事する業務の種類
    4. 雇入れの年月日
    5. 退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由)
    6. 死亡の年月日及びその原因

を記入しなさいとあります。(30人未満の会社は、”3.従事する業務の種類” は省略できます。)

ひとつの会社に、2以上の事業所がある場合は、それぞれ個別に労働者名簿を作成する必要があります。

 

この会社は、パートタイマーの契約に関する事項が曖昧な契約書でした。

例えば、『1年ずつ契約更新する』と書かれていましたが、実際は面接や更新内容の確認など更新の際の手続を行わず、慣習的に自動更新を行なってきました。

それでも事業を始めて30年超。いままで大きなトラブルもなく『自分の会社は大丈夫だろう。』とこれまでやってきました。

しかし今年はじめ、長年勤めた従業員に対して「70歳」という年齢を理由に契約更新をせず雇止めとしました。

それに不満を持った従業員が、労働基準監督署に相談に行ったため、調査する中で退職の手続に大きな問題はなかったものの今回の上記違反が発覚しました。

今回の事例は、”労働契約書” という書面は整っていましたがその中身が不備であったり、知識不足で法律で定められた書類を整えていなかったりというものです。

これらは他人事ではありません。皆さんの会社は、大丈夫でしょうか?

パートタイマーの無期契約転換への注意点!

昨年の労働契約法改正で、パートタイマーが平成25年度以降契約更新を繰り返し、5年を経過した後、無期契約へ転換を希望した場合の対策について、先日改めてご相談を受けました。

この場合、まず必要なことは、就業規則の見直しをすることです。

 

1.会社が無期転換を考えていない場合

重要なのは、最初(平成25年度以降)の労働契約時に、「契約更新は4回を限度とすること」を明確に書いておくことです。

さらに、毎年契約更新するごとに、「残り〇年です。」ということを確認し、無期契約の可能性がないことをその都度伝え、余計な期待を持たれないようにすることです。

 

2.会社が無期転換を考えている場合

会社は、有期パートタイマーと無期パートタイマーの定義を明確にします。

パートタイマーが5年経過後、希望する場合は無期転換の申込みができることを書きます。

また、無期転換後の労働条件(転換前の労働条件と同一でも構いません)や転換に関する手続等も書いておきます。

さらに、無期パートタイマーの定年を決めておいた方がいいと思います。

 

3.不合理な労働条件の禁止

有期契約社員と無期契約社員とで、労働条件に差があることを禁止しているわけではなく、合理的な理由がなく差を設けることを禁止しているということです。

不合理かどうかは、以下の事情等を考慮して判断します。

  • 職務の内容(業務内容、それに伴う責任の程度)=(例)クレーム処理
  • 人材活用方法(人事異動の有無やその範囲)=(例)転勤の有無
  • その他「期間の定めがあること」により異なる労働条件とすることが、社会通念上認められる事情があるか

この労働条件とは、賃金、労働時間だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、福利厚生等を含む一切の待遇が含まれます。

厚生労働省の通達では、次の内容が「不合理な労働条件」に該当する可能性があるとしています。

  • 正社員に通勤手当を支給するが、有期契約社員には支給しない。
  • 正社員は社員食堂を利用できるが、有期契約社員は社員食堂を利用できない。
  • 正社員には安全管理上の備品を無償で支給するが、有期契約社員からは、実費を徴収する。

これらを踏まえて、平成30年度までの早い時期に対応策を検討してください。

労働条件は、雇用契約と就業規則のどちらが優先?

先日、ある社長から次のような質問を受けました。

「当社では、労働時間を午前8時30分から午後5時30分、休憩時間1時間という労働条件で個別に雇用契約を締結しています。就業規則はありますが、10年以上前に作成したもので、午前9時から午後5時30分のままになっています。以前に、就業規則より個別の契約が優先すると聞いたことがあったので大丈夫と思っていました。最近採用した従業員から指摘され、不安になってきました。問題があるでしょうか?」

個別の雇用契約の労働時間は、8時間です。一方、就業規則の労働時間は、7時間30分です。いずれも労働基準法の範囲内です。

個別の雇用契約の条件が、就業規則より優遇されている場合には雇用契約が優先します。

今回の場合は、個別雇用契約の内容が就業規則に定める基準に達しないため、個別の契約は無効となり、就業規則が適用されます。(労働契約法第12条)

ちなみに、労働基準法の基準を下回った就業規則は、その部分は無効となり労働基準法が適用になります。(労働基準法第13条)

パートタイマーとの労働契約に関する法律が改正されます

パートタイマーとの労働契約に関する法律が昨年8月に改正され、平成25年4月1日より施行されます。(一部は施行済みです。)

今回の改正は、パートタイマー等の有期労働契約が多い会社では、対応を間違えると大きなトラブルに発展することが考えられますので注意が必要です。

改正点の一つ(最も影響が考えられるもの)は、契約を反復更新して5年経過し、6年目に入ってその従業員が、「ずっと働きたい。」あるいは「辞めたくない。」主旨の意思を示すと、その時点で従業員は「無期労働契約の申し込みをした」そして会社は「その申込を承諾したものとみなす」というものです。

無期労働契約とは、本人が辞めると申し出がなければずっと働き続けるということです。

今まで業務の繁閑あるいは賃金を抑制するためにパートタイマーを活用してきた会社はどうすればいいのでしょうか?

無期労働契約になった従業員から「働く時間も仕事も正社員と同じになったのに賃金に差があるのはおかしい。」という要求が出されたときどのように対応しますか?

こういう場合は、賃金、労働条件等は正社員と同じようにしなければならないのでしょうか?

今回、「雇止め・無期転換/継続雇用 法改正のポイントとトラブル対策」というテーマでセミナーを開催します。

  • 平成25年3月12日(火) 14:00~16:00
  • 札幌エルプラザ 4階(研修室5)
  • 受講料 1,000円/一人
  • 定員 15名

詳細な内容あるいは申込をご希望の方は、下記をプリントしてファックスでお申し込みください。

法改正のポイントとトラブル対策

派遣労働者の中途解約

少し細かくなるためまず前提となるキーワードから確認します。

  1. 派遣労働者   派遣元から派遣される労働者
  2. 派遣先     派遣労働者を現場で働かせる会社
  3. 派遣元(雇用) 労働者を雇用し、その労働者を派遣先に派遣する会社
  4. 派遣元(登録) 労働者を登録し、その労働者を派遣先に派遣する会社

派遣先が経営上の都合により、その派遣労働者を契約期間の途中で一方的に派遣契約を打ち切った場合にどのような問題が発生するか考えてみます。

派遣先が派遣労働者を契約期間の途中で解約しても派遣労働者を解雇したことにはなりません。なぜなら、派遣労働者は派遣元と契約して働いているからです。

派遣労働者に対する派遣元の対応も、雇用型と登録型で違います。

雇用型の派遣元は、自社で雇用しているので新たな派遣先を手配する等の対応が必要です。

登録型の派遣元は、新たな派遣先がすぐ見つかればいいのですが、派遣先から契約解除されたと同時に何のフォローもせずにその派遣労働者の契約も解除してしまい、それが原因のトラブルも発生しています。

この場合、登録型の派遣元は契約期間については別の派遣先を確保するか通常賃金、あるいは休業手当等一定額を支払わなければなりません。

厚生労働省は派遣先に対しても派遣契約について以下の主旨の指針を出しています。

  1. 派遣先の都合で派遣契約を途中で解約する場合は、派遣労働者の次の就業機会を確保するか、派遣元にその労働者を休業させる場合の休業手当、解雇予告手当相当額以上の損害賠償を支払うことを決めておかなければならない。
  2. 上記1.を決めておかない場合でも損害を賠償しなければならない。

派遣労働者に対しては、派遣先、派遣元がともに責任ある対応をとる必要があります。その都度自社に都合のいいように運用しているとせっかくの有効な制度もかえって規制が厳しくなり活用しずらいものになってしまいます。

有期労働契約の中途解約

会社の業績が悪化した場合にパートタイマー等の有期労働契約の従業員を契約期間の途中で解雇することは可能でしょうか。

労働契約法第17条では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定があります。

つまり、よほどの理由がなければ、期間の途中で解雇することはできないということです。半年・1年の雇用契約を締結して、数か月を残しての中途解約は認められる可能性が低いと考えます。対応によっては支払わなければならない額が変わってきたりします。

  1. 会社の都合で休業させた場合        ➪ 平均賃金の60%
  2. 解雇して解雇無効により賃金請求された場合 ➪ 通常賃金

また、同じパートタイマーでも契約更新を繰り返し、期間の定めのない契約と実質同じような従業員の場合は、正社員と同レベルの整理解雇の有効性が焦点となります。これまでの判例から以下の4要件が問われます。

  1. 解雇しなければ会社が倒産する等経営上人員削減が必要か
  2. 一時帰休や希望退職者の募集等解雇回避努力はしたか
  3. 被解雇者の選定基準は客観的に合理的で公正に行ったか
  4. 従業員に状況を十分に説明・協議し、理解を得られるよう努力したか

結論としては、たとえ業績が急に悪化した場合でも、パートタイマーだからと言って安易に期間の途中で解雇することはよほどのことがない限りなかなか認められないようです。

契約(変更)は必ず書面で!

先日、ある裁判を担当された原告側弁護士から判決内容を聞く機会がありました。

訴訟の主な内容は、退職した従業員(原告)が会社(被告)に「賃金の減額による未払い分の賃金を支払え。」というものです。

会社側(被告)は、「賃金を減額することは従業員に説明し、同意を得ている。」と主張しました。

この会社(被告)と従業員との賃金決定は、以前の職場の賃金をもとに個々に決定しており、この従業員(原告)とも年額基本賃金を決定し、手当も賞与もなしという契約をしました。

被告の会社は中途採用が多く、従業員の賃金にバラツキがあり、不公平な格差が生じたため全体の賃金体系の見直しを必要と考えました。

被告は、原告の1か月当たりの基本賃金を減額しました。そのかわり従来はなかった「職務手当」(定額制時間外賃金として)と、年2回の賞与2カ月分を支給することとしましたが、年間総額では、約2割の減額としました。

被告はこれを原告に入社2カ月後に説明し同意を得て、その2カ月後の賃金支払日から実施しましたが、労働条件承諾書に署名させたのは、初めて説明してから1年後でした。

原告は、賃金減額の同意を否認しています。原告は、賃金減額を提示されたとき、「ああわかりました。」と返事をしたことは認めています。

その点を裁判官は、「そのこと(『ああわかりました』)が賃金減額に同意したとの認定は困難である。その理由は、労働者が経営者側に不評を買わないようにしたり、その場では差し障りのない返事をすることはよくあることである。しかし、賃金減額は労働者の生活を直撃する重大事であるから簡単に承諾できることではない。合意を得たのであれば、通常その時点で書面を取り交わしておくものである。」としました。

「職務手当」(定額制時間外賃金)についても興味深い解釈がありましたが、こちらは別の機会にします。

この裁判の判決は、ほぼ原告の主張が認められたものになりました。この裁判は、控訴されています。

この会社(被告)は就業規則があり、賃金規定も諸手当も時間外労働に関する規定もありましたが、規則が会社にあっていなかったのか、うまく運用されていなかったのか、結局数百万円の大きな金額を支払うことを命じられました。