”雇止め”も予告や予告手当は必要か?

みなさん、こんにちは。

今回は、有期契約労働者を契約期間満了による雇止めをしようとする場合には、正社員と同様に解雇予告や解雇予告手当に相当する手続や手当が必要かを確認したいと思います。

会社は、従業員を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前までにその予告を行わなければならず、30日前までに予告しない場合は、平均賃金の30日分以上の賃金を支払わなければなりません。(労基法第20条1項)

なお、適用除外として以下の4つが定められています。

  1. 日々雇い入れられる者(1ヶ月を越えたら必要)
  2. 2か月以内の期間を定めて使用される者(2か月を越えたら必要)
  3. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(4か月を越えたら必要)
  4. 試用期間中の者(⒕日を越えたら必要)

問題は、契約期間満了により終了させる場合にも”解雇予告”は必要かということです。

労基法上の義務は、あくまでも『解雇』に関する規定であり、契約期間満了の場合にまで類推適用することはできないため、労基法上の予告義務はないと解されています。

そこで、『有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準』(平成15.10.22 厚労省告示第357号)を確認しますと、以下の場合には契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならないと定めています。(予め契約更新しない旨が明示されている場合は除く)

  1. 3回以上更新されている場合
  2. 1年以下の契約期間の有期労働契約が更新又は反復更新され、最初に有期労働契約を締結してから継続して1年を越える場合
  3. 1年を越える契約期間の労働契約を締結している場合

しかしこの基準は、雇止めの予告をすることは定めていますが、解雇予告手当の支払い義務についてはなんら規定していません。ということは、契約期間満了の30日前までに予告をしなかったとしても、解雇予告手当を支払う義務はないということです。

上記の基準は、労基法第14条(契約期間等)2項に基づく基準であり、また、労基法第120条には、労基法第14条に違反した場合には、30万円の罰金に処する旨規定があることから罰則が適用されるとも考えられます。

しかし他方で、労基法第14条3項には、「行政官庁は、前項基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。」と定め、基準に基づく行政指導を行うことが明言されています。

以上から上記基準は、行政指導を行うための行政基準と考えられ、基準に反して雇止め予告を行わなかったことを理由に即罰則が適用される可能性は低いと考えます。(以上、「日本法令 ビジネスガイド2月号 弁護士 平井 彩氏(石嵜・山中綜合法律事務所)」解説から引用)

最後に私見ですが、いずれにしても罰則の有無にかかわらず、昨今の正社員と有期契約社員との格差是正(待遇見直し)の傾向を考えますと、30日前までに雇止め予告をすることが適切であり、また30日前までに予告をしなかった場合には、義務はないとしても「解雇予告手当」相当を支払う方向で検討された方がいいと考えます。

あけましておめでとうございます

みなさん、あけましておめでとうございます。

私は、昨年末ぎりぎりで『一般社団法人日本メンターコーチ協会』の認定コーチ資格をやっと得ることができました。

昨年日本一になった『日本ハムファイターズ』や今年の箱根駅伝で三連覇を達成した『青山学院大学』は、監督などのコメントを聞いていますとまさにこの”コーチング”を実践した指導だなと思います(意識しているかどうかは分かりませんが・・)。

今年はこの”コーチング”を取り入れたセミナーを企画して、経営・労務管理、人財育成のヒントにつながればと考えています。また、本格的に労働保険・社会保険の手続業務にも力を入れていこうと思っています。

今年も、「パートタイマーの雇用契約・更新」、「労働時間(残業時間)の管理」、「「従業員のメンタル問題(うつ病対策)」、「指導・教育がパワハラ問題」など様々な問題(不安)を抱えていらっしゃる経営者の方に寄り添い、本当の解決をいっしょに考えて参ります。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

イラっとしたときの対処法!

みなさん、こんにちは。

みなさんは、”怒りの感情”をどのようにコントロールしていますか。

私の場合は、事前に想定し得る事態(トラブル等)をできるだけイメージ(心の準備)して行動するようにしていますが、その想定を超えたとき思わず態度や言葉に出てしまいます。

そして少し時間が経過した後、『なぜ想定しなかったのか』、『なぜあんな態度をしてしまったのか』、『なぜあんなことを言ってしまったのか』、『ほかに方法はなかったのか』などと落ち込んでしまいます。

今回は、北海道医療新聞社の介護新聞(1月1日発行)に 『イライラに振り回されない!』~アンガーマネジメントで未来を変える~(日本アンガーマネジメント協会 安藤 俊介代表理事)の講演記事が掲載されていましたのでご紹介します。

 

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基本的に気持ちは感じたらそのまま出すもの。でも、皆さんは怒りの感情を率直に出せません。怒ることで人間関係や雰囲気が悪くなる、人に嫌われるとと思っているからです。

怒って好かれる人には3つの条件があります。1つ目は素直であること。子供っぽく怒れる人は嫌味がない。2つ目はルールが明確。いつでもどこでも誰に対しても同じに怒れる。3つ目は、人のために怒れること。

この3つを守ると、皆さんはどれだけ怒っても人に好かれます。「怒るイコール人に嫌われる」ではありません。上手に怒る方法を覚えていきましょう。

アンガーマネジメントは1970年代に米国で生まれたとされる心理教育、心理トレーニングで、怒る必要があることは上手に怒る、怒る必要がないことは怒らなくて済むようになる、その線引きができるようになることです。やみくもに怒らないのはマネジメントになりません。

怒りの感情は人間に備わっている、ごく自然な感情の1つです。しかし、次の4つに当てはまると、ちょっと問題があります。それは1回怒ると激高する人。根に持ったり、思い出し怒りをする。しょっちゅうイライラしている。

そして、人に当たる。自分を責める、あるいは物に当たる。例えばドアを思い切り閉める、大きな音を立てて歩くなど、自分が怒っているということを物を通じて表現する人です。皆さんはどんな特徴がありますか?

怒りの感情は、第二次感情です。基本的に単体では存在しません。その前に何らかの感情が存在しています。こんなイメージをしてください。

私たちの心の中にあるコップに毎日、つらい、苦しい、不安などのマイナスの感情の水を注ぎます。そして何かのきっかけであふれ、それが怒りの感情に変わる。

これを知っていると、怒っている人と上手に付き合えます。怒っている人は、その前の第一次感情を知ってほしい、「自分がいかにつらいか分かって」、「どんなに苦しいか知ってる?」という怒り方をしている人がほとんどだからです。

皆さんは怒っている人と向き合うとき、怒りの感情に目を向けるのではなく、その前に感じていた第一次感情を見てあげることです。何がつらかったの?不安だったの?それを教えてくださいと。

それができるようになると皆さんに対する安心感、信頼感が格段に高まります。だから怒っている人と向き合うのがすごく楽になります。慣れれば簡単に聞けるようになるはずです。

皆さんがイラっとしたときに絶対にやってはいけないことが1つあります。それは反射です。そこで「6秒ルール」です。イラっとしてから最初の6秒は待ってください。それができれば、良い選択ができるチャンスが巡ってきます。

反射しないために、怒りの温度を決めるというのもやってみてください。怒りの感情をコントロールしにくい理由の1つは尺度をもっていないから。

そこで、これからイラっとしたら、ゼロを「穏やかな状態」、10を「人生で一番強い」として点数を付けます。続けるうちに、段々ときれいな階段ができる。つまり自分の状態が分かるようになる。状態が分かれば、対策のしようがあります。

怒りの感情のコントロールが上手になるために伸ばしたい能力の1つが言語能力です。言語能力が低ければ、表現で強弱が付けられず、ボリュームで強弱を付けます。机を叩いたり、出て行ってしまう人もそうです。言語能力が高ければ、トーンを変えず怒りの感情を表現できます。

それには、文化に触れることです。本を読んだり、映画を見たりすることで言葉の引き出しが増えます。もう1つはいつもの自分と違うコミュニティに入ること。アンガーマネジメントは頭の中だけをコントロールするのではなく、使う言葉や振る舞いを変えることでもできます。

皆さんは結局、何に怒っているのでしょうか? 誰に? 出来事に? 何かに? どれかに怒っていそうですが、特定するのは意外と難しい。それは、これらが全部不正解だからです。

私たちは何に怒っているかと言うと、「べき」という言葉です。私たちが怒るのは、自分の信じている「(こうである)べき」が目の前で裏切られたときです。

今まで皆さんは自分が怒る理由はすべて外にあると思っていたはずですが、実は自分の中にあったのです。この「べき」には重要な譲れないものや、ちょっとしたこだわりがあります。この小さな「べき」を見つける練習をしておくと、自分のこだわりが分かり、怒りの感情をコントロールする練習になります。

皆さんはどんな「べき」を持っていますか?「べき」という言葉と上手に付き合うのは難しい。信じている本人にとってはすべて正解だから。そして多くの「べき」は程度問題です。そこで「べきの境界線」というものを考えています。

私たちの心の中には三重丸があると思ってください。一番中心にあるのは自分の信じている「べき」と同じ。その周りが、自分とは少し違うが許せる範囲。最も外側が許せないレベル。

皆さんはこの三重丸を安定させる努力をしてほしい。ルールを明確に、いつでも同じ境界線で怒れるように。無駄にイライラしたくなければ、三重丸を大きくしてください。そうすればイライラが減ります。

アンガーマネジメントはトレーニングです。やれば上手になります。挑戦してみてください。

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いかがでしょうか? 私自身は、『なるほど!』というところが多くありました。これからは日ごろから意識しようと思います。