最低賃金を800円に!

厚生労働省では、2020年までに最低賃金を800円まで引き上げることを目指し、その支援対策を設けました。

地域別最低賃金額が700円以下(北海道も入ります。)の地域の中小企業が対象です。

① 4年以内に最低賃金を800円以上にすること

② 業務改善計画(賃金制度、就業規則の作成、研修他)を作成し、実施すること

この支給要件を満たした事業主(支給対象事業主の条件は別にあります。)に、業務改善経費の2分の1(下限額5万円、上限額100万円)を「業務改善助成金」として支給します。

今回の助成金は、賃金引き上げの対策に要した費用に対するものです。(引き上げた最低賃金分を助成するものではありません。)

概略は、こちらをご確認ください。

契約(変更)は必ず書面で!

先日、ある裁判を担当された原告側弁護士から判決内容を聞く機会がありました。

訴訟の主な内容は、退職した従業員(原告)が会社(被告)に「賃金の減額による未払い分の賃金を支払え。」というものです。

会社側(被告)は、「賃金を減額することは従業員に説明し、同意を得ている。」と主張しました。

この会社(被告)と従業員との賃金決定は、以前の職場の賃金をもとに個々に決定しており、この従業員(原告)とも年額基本賃金を決定し、手当も賞与もなしという契約をしました。

被告の会社は中途採用が多く、従業員の賃金にバラツキがあり、不公平な格差が生じたため全体の賃金体系の見直しを必要と考えました。

被告は、原告の1か月当たりの基本賃金を減額しました。そのかわり従来はなかった「職務手当」(定額制時間外賃金として)と、年2回の賞与2カ月分を支給することとしましたが、年間総額では、約2割の減額としました。

被告はこれを原告に入社2カ月後に説明し同意を得て、その2カ月後の賃金支払日から実施しましたが、労働条件承諾書に署名させたのは、初めて説明してから1年後でした。

原告は、賃金減額の同意を否認しています。原告は、賃金減額を提示されたとき、「ああわかりました。」と返事をしたことは認めています。

その点を裁判官は、「そのこと(『ああわかりました』)が賃金減額に同意したとの認定は困難である。その理由は、労働者が経営者側に不評を買わないようにしたり、その場では差し障りのない返事をすることはよくあることである。しかし、賃金減額は労働者の生活を直撃する重大事であるから簡単に承諾できることではない。合意を得たのであれば、通常その時点で書面を取り交わしておくものである。」としました。

「職務手当」(定額制時間外賃金)についても興味深い解釈がありましたが、こちらは別の機会にします。

この裁判の判決は、ほぼ原告の主張が認められたものになりました。この裁判は、控訴されています。

この会社(被告)は就業規則があり、賃金規定も諸手当も時間外労働に関する規定もありましたが、規則が会社にあっていなかったのか、うまく運用されていなかったのか、結局数百万円の大きな金額を支払うことを命じられました。

メンタルヘルス対策

「メンタルヘルス」というキーワードはよく目にするようになりましたが、皆さんの職場で対策はお済みでしょうか。

メンタルヘルス疾患の原因は、過重労働やノルマ・締切のプレッシャー、あるいは人間関係の軋轢等職場環境によるものと、本人の性格やストレス耐性等個人の問題と考えられるものがあります。

メンタルヘルス疾患は、本人が気づく場合と、周囲の人が「あの人の様子が最近おかしい。」と気づく場合があります。

具体的に診断されると、本人の性格によって「会社に迷惑をかけるので早く職場に復帰したい。」と考える人と、「自分がこうなったのは会社のせいだ。あるいは上司のせいだ。」と主張し、場合によってはわがままと思われるような要求をしてくる人もいます。

これらの問題を未然に防止する解決策はありませんが、問題が発生したときの対策を就業規則等で決めておく必要があります。

問題が発生したときは、会社は個別にその時点で最善と思われる方法を適切に対応していくしかありません。まず、主治医に受診させます。よく聞く話は、まじめな従業員ほど早い職場復帰を望み、主治医に「職場復帰可能」と診断書に書くよう依頼するそうです。

主治医は会社の状況・職場環境・業務内容等を把握しないまま、本人の主張に沿った内容の診断書を書いてしまうことも多いようです。逆に会社側が心配になり、本人了解のうえで主治医と面接したり、主治医と会社の担当医(産業医)と連携して対応していくこともあります。

また、復職と休職を繰り返すことも考えられます。主治医が復帰を認めた場合でも、会社は完全復帰とはせず、様子を見るためリハビリ期間を設けるのも一つの方法です。その期間中に再発した場合の対処も決めておく必要があります。

これらの内容を具体的にどこまで就業規則等に規定するかはそれぞれ会社の考え方によって当然違ってきますが、「会社として対応を考えている」という意思を表すことで、従業員から安心感や信頼感を得ることができるはずです。

最後に専門機関・対策機関を一部掲載します。

・北海道安全衛生サービスセンター

・メンタルヘルス対策支援センター

・北海道立精神保健福祉センター

・札幌地域産業保健センター

・日本産業カウンセラー協会

売上UPはこの方法!

先にお断りします。私は売り上げアップのノウハウを持っていません。これから私が最近受けたセミナーでほんの一部ですが、印象に残ったお話をしたいと思います。

まず、株式会社サポルテ 塚田 康祐 講師の「ビジネスコーチング」です。内容は、まず身近な人に関心を持つということでした。具体的には、たとえば隣の人の長所を3分以内に10個以上書き出してみてください。私には思ったより難しいことでした。これは普段、人の欠点に目が行くからだそうです。

また、質問には二種類あるということです。それは、自分が聞きたい質問と、相手が話したいと思う質問です。具体例として営業会議で売上未達成の部下に、はじめの質問は、「なぜ、売り上げが上がらないのか?」 あとの質問は、「どうしたら売り上げが上がると思うか?」 違いがお分かりでしょうか。

少なくとも私は初めの質問ではモチベーションは上がらず、逆に押し黙ってしまいそうです。なるほどと思い、いざ質問を試みましたがやはり考えを引き出す質問というのは難しいものです。今後意識してあとの質問のしかたを心がけようと思います。

次に、株式会社ピーオーピーオリジン 沼澤 拓也(通称POPスター 沼澤 拓也)講師です。この方のお話は自分を見つめ直す意味で大変勉強になりました。自分をアピールするには、まず自分がどういう人間か、何を考えているかを再認識しなければなりません。次にそれを表現する仕方です。私は、日常に流されてあまり深く考えたことはありませんでした。

この機会に自分を振り返り、自分の目指す方向をキャッチコピーにしました。

「3つの安心をガッチリ!サポート」

この意図は、労使トラブルを最小限におさえるには労務管理上の予防と対策=就業規則の作成・見直しであり、、事業経営に安心して取り組んで頂けるようサポートさせて頂きたいという思いです。

すいません。やはりタイトルとは別の結論になってしまいました。

労働条件を変更したい!

法改正あるいは経営環境の変化によって、労働条件を変更しなければならない状況が考えられます。労働条件を変更するときは、原則として個別に労働者との合意が必要です。この合意は労働者の自由な意思に基づいたものであることが前提です。会社の決定に従業員が異議を述べなかったことを理由にしても合意とは認められない可能性があります。会社の説明に錯誤、あるいは脅迫があったと判断されたときも合意とは認められません。

就業規則の労働条件を変更するときは、その就業規則に変更する場合があることを規定し周知しておかなければなりません。それを踏まえたうえで変更の有効・無効の判断は、以下の通りです。

1. 会社側に変更の必要性がある

2. 就業規則の変更により労働者が被る不利益の程度

3. 変更後の就業規則の内容の相当性

4. 代償措置その他労働条件の改善状況

5. 労働組合等との交渉の経緯

6. 同種事項に関する社会の一般状況(同業種あるいは同規模)

 

上記項目は、過去の判例を判断基準として列挙していますが、争いになった時最終的には担当した裁判官の判断になります。

特に、「賃金」の見直しは、労働者の生活に直結するため、慎重な対応が必要です。そのため実施する場合でも3~5年くらいの経過措置を設けたほうがいいと思います。

 

労働時間の管理!

最近、退職した従業員から未払い残業代を請求されるトラブルが増えています。残業があったことを証明するのは労働者側の責任です。会社側は普段から従業員の労働時間を把握していれば、それに対してきちんと反証できますし、反証材料が不十分だと支払いが必要になる可能性があります。皆さんの会社では、労働時間はどのように管理されているでしょうか。

まず、就業規則等で始業・終業時刻がきちんと規定されていることが前提です。次に時間の管理方法は 1)社長自らチェックしている 2)タイムカードを活用している 3)自己申告をさせている 等あると思いますがいずれにしても厚生労働省ではこの管理を「使用者の責務」として指導しています。

タイムカードを活用している場合、労働基準監督署では一般的に打刻された始業時刻と終業時刻の間を、休憩時間を除き会社の指揮命令下にある労働時間とみています。

しかし、たとえば「交通の便の都合で始業開始の30分前に出社した」とか「業務終了後30分雑談をして退社した」等は日常あり得ることです。ではこのそれぞれ30分は労働時間となるでしょうか。普通に考えるならば労働時間ではありません。会社としてたとえば半年後、労働基準監督署から指摘されたときに「会社の指揮命令下にない」ことを証明しなければなりません。

そのためには、タイムカードとは別に始業・終業時刻を管理する会社独自の方法を決めて、それを従業員にもきちんと説明し、理解を得てから運用することです。それが後日発生するかもしれない労働時間のトラブルを最小限に抑える対策のひとつとなり、あわせて無駄なコストを抑えることにもなります。

試用期間は解雇可能?

新入社員を採用するときは、採用試験や面接をして業務に対する能力や性格等を見極めて採用を決定されているはずです。しかし、採用後「失敗した」と思った経験のある経営者あるいは採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。対策として試用期間を設けている会社もあると思います。

では、試用期間中であれば採用をキャンセルすることは可能でしょうか。結論から言いますと、試用期間といえども採用をキャンセルすることは解雇と同様に見られ簡単にはできません。現在主流の考え方は、「留保解約権付労働契約」というものです。つまり試用期間といえども労働契約は成立しています。しかし、契約を解約する権利は一部残しておくということです。

試用期間中に採用をキャンセル(解雇)することが認められたケースは、就業規則に 「試用期間中の勤務成績・態度、経歴詐称、健康状態他社員として不適格と認めた場合は解雇する」 旨規定があること他いくつか判例がありますが、争いになったとき最終的には裁判官の判断になります。

採用のキャンセル(解雇)によるトラブルを最小限におさえる対策としては、

 1. 勤務態度等会社が注意した日時、内容等を記録し保存しておく。

 2. 注意と同時に「このままでは試用期間終了時点で採用をキャンセルする」旨伝える。

 3. 注意した時、同時に反省を促し、本人に改善方法を書面で提出させる。

 4. 能力が不足している場合は、試用期間の途中でその旨を伝え努力を促し、試用期間終了時点で採用をキャンセルする可能性を示唆する。

採用された本人からすれば、試用期間終了と同時に採用しないと言われればやはりショックだと思います。会社としてどうしても不適格と判断する社員がいれば、なるべく早く本人に注意し、努力を促し、場合によっては採用を取り消されることがあると意識させることで試用期間終了時点で突然言われるよりはショックは少ないと思います。

パートタイマーの雇止め

解雇と合わせてよく問題になるのが、パートタイマーや契約社員等有期雇用契約の雇止めです。期間の定めがあるのですから期間満了で当然契約も終了するはずです。しかし、2008年のリーマンショックで「雇用調整手段に利用している」として社会問題になりました。経営者の皆さんは、契約更新あるいは契約解除する場合の判断基準は明確になっているでしょうか。

厚生労働省の主な指針は以下のようになっています。

1. 最初の契約締結時に契約更新の有無を明示しなければならない。

    ・ 自動的に契約更新する

    ・ 契約更新する場合がある

    ・ 契約更新はしない

2. 「契約更新する場合がある」と明示したときは、「更新する場合」、「更新しない場合」の判断基準を明示しなければならない。

    ・ 契約満了時の業務量によって判断する

    ・ 労働者の勤務成績、勤務態度によって判断する

    ・ 会社の経営状況によって判断する

    ・ 従事している業務の進捗状況によって判断する

3. 契約内容が以下の場合の雇止め予告は、契約期間満了の30日前までに行う。

    ・ 有期雇用契約の更新が3回以上された場合

    ・ 反復更新して最初の契約締結から継続1年を超える場合

    ・ 1年を超える雇用契約をしている場合

4. 雇止めの理由は、契約期間満了という理由とは別に説明が必要。

    ・ 担当していた業務が終了した、または中止したため

    ・ 事業縮小のため

    ・ 業務遂行能力が十分ではないため

    ・ 無断欠勤等勤務不良のため

雇止めが争点になった時、上記手続きが明確であれば有効と判断される可能性は高いと思います。しかし、「前回の契約更新時に『次回は更新しない』という契約内容が記載されているから」 とか 「更新回数の上限を設けてありその上限になったから」 という理由だけでは解雇権濫用を類推適用され認められない場合がありますので注意が必要です。

地域労働組合の勉強会に100人!

先月下旬、ある地域労働組合が開催する労働者向け勉強会の新聞記事を見つけました。当日、500円の会費以外参加者に条件がなかったので、「働く人の側からの主張、考え方を聞いてみたい」と思い、参加しました。

それほど広くない会場に、補助椅子まで並べられ、100人以上が話を聞いていました。勉強会は解雇、雇止めが主な内容でした。働く人々は自分の立場、条件を必死で守ろうと勉強していると感じました。

当然経営者の皆さんからすると、たとえば解雇であればそれなりの理由があるはずです。しかしそれを主張するためには、その対処が法律に基づいたものとして認められる必要があります。やはり経営者の皆さんも勉強が必要と思います。

トラブルは、労使双方にとって時間やコストがかかり不幸なことです。普段から従業員の方々とコミュニケーションをとっていることがなにより重要だと実感しました。