「同一労働同一賃金」チェックポイント

みなさん、こんにちは。

中小企業でも2021年4月1日から「同一労働同一賃金」が施行になりますが、

準備は進んでいるでしょうか?

「まだ、これから」という方や「どのように進めていったらいいか分からない」

という方もいらっしゃるかもしれません。

 

厚生労働省が、

「同一労働同一賃金ガイドライン概要」を作成しています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000470304.pdf

さらに詳細は、「同一労働同一賃金ガイドライン」を確認してください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf

 

また、取組の点検マニュアルとしてワークシートもそろえています。

このワークシートに沿って作業をすすめることでやるべきことが

整理できるかと思います。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03984.html

 

いずれにしても、基本給、各種手当、賞与、退職金などについて

その性質・目的に照らして、正社員とパート・有期社員との間の格差に

合理性が認められるかどうかが問われています。

 

以上、参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

「同一労働同一賃金」は中小企業も適用になります!(2)

みなさん、こんにちは。

前回、大阪医科歯科大学事件とメトロコマーズ事件を整理しました。

今回は、上記事件の直後に最高裁が下した『日本郵便 東京・大阪・佐賀事件』

を整理して判決要旨を確認します。

改めて、根拠となる条文は以下の労働契約法第20条です。

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働者の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。(2020年4月1日 パート有期労働法第8条に移行しました。)

条文にある「業務の内容」、「責任の範囲」、「配置変更範囲」、

「その他の事情」とは概ね以下の通りです。

業務の内容 ◎業務内容や役割における差異の有無及び程度
◎業務量(残業時間)や休日労働、深夜労働の有意な差
◎臨時対応業務などの差
責任の範囲 ◎業務に伴う責任や差異の有無及び程度
・単独で決済できる金額の範囲
・管理する部下の人数
・トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる役割
・業績の成果に対する責任の有無・程度
・数字を伴う「結果」について責任を負う立場か
◎人事考課の差異
配置変更範囲 ◎配転(業務や職種変更)、出向、昇格、降格
その他の事業 ◎正社員登用制度の有無・実績
◎労使間の交渉状況
◎従業員への説明状況
◎労使慣行
◎経営状況
◎非正規労働者が定年後雇用された者であるかどうか

 

上記4つの要素が、日本郵便三事件の最高裁判決においてどのように判断された

のかを表にして整理しました。

◆日本郵便 東京事件
争 点 正社員と有期契約社員との間で年末年始勤務手当、病気休暇、夏期冬期休暇等に相違があることは労働契約法第20条に違反しているか否か
原 告 X1‥国又は日本郵政公社に有期任用公務員として任用された後、平成19年10月1日、郵便事業株式会社と有期労働契約を締結し、更新を繰り返して勤務する時給制契約社員 郵便外務事務(配達等の事務)に従事

X2‥X1と同条件の契約内容 郵便内務事務(窓口業務、区分け作業等の事務)に従事

X3‥平成20年10月14日、郵便事業株式会社と有期労働契約を締結し、更新を繰り返して勤務する時給制契約社員 郵便外務事務に従事

職員の内訳 正社員(無期契約社員)
期間雇用社員(有期契約社員)
就業規則 [正社員]
1日8時間 週40時間の勤務
平成26年3月31日以前人事制度 企画職群 一般職群(旧一般職) 技能職群
平成26年4月1日以降人事制度 管理職 総合職 地域基幹職 一般職(新一般職)

 

賃金構成 基本給 住居手当 祝日給 特殊勤務手当 夏期手当 年末手当
※特殊勤務手当は、著しく危険、不快、不健康、困難な勤務、その他の著しく特殊な勤務で給与上特別の考慮を必要とし、その特殊性を基本給で考慮することが適当でないと認められる仕事に従事した正社員に、その特殊性に応じて支給するもの

・年末年始勤務手当(争点)(特殊勤務手当の一つ)
12月29日から12月31日まで1日4,000円
1月1日から1月3日まで1日5,000円
実際に勤務した時間が4時間以下の場合は、それぞれ半額

・夏期冬期休暇(争点)
夏季休暇は6月1日から9月30日までに3日の有給休暇
冬期休暇は10月1日から翌年3月31日までに3日の有給休暇

・病気休暇(争点)
私傷病により勤務しない者に引き続き90日間まで与えられる有給休暇

[期間雇用社員]
社員区分 スペシャリスト契約社員 エキスパート契約社員 月給制契約社員 時給制契約社員 アルバイト時給制契約社員‥契約期間6か月以内で契約更新有り
1日8時間以内 週40時間以内賃金構成 基本給 祝日割増賃金 特殊勤務手当 臨時手当
※年末年始勤務手当は支給されない
※夏期冬期休暇は与えられない
※病気休暇は、年間10日間無給で付与される
その他 [正社員]
新一般職は、郵便外務事務、郵便内務事務等の標準的業務に従事することが予定されており昇任・昇格は予定していない
正社員の人事評価基準は、業務の実績、部下の育成指導状況、組織に対する貢献、自己研鑽、状況把握、論理的思考、チャレンジ志向等を評価
配転は予定されているが、新一般職は転居のない範囲で人事異動が命じられる可能性があるにとどまる
[期間雇用社員]
郵便外務事務、郵便内務事務のうち、特定の業務に飲みに従事し、昇任・昇格は予定していない
時給制契約社員の人事評価基準は、上司の指示や職場内のルールの遵守等基準事項、担当する職務の広さとその習熟度
人事異動は、職場及び職務内容を限定して採用しており人事異動はない郵便局を移る場合は、個別の同意に基づき、従前の郵便局の雇用契約を終了させ、新たな郵便局との雇用契約を締結させる
時給制契約社員に対しては、正社員への登用制度がある
判決要旨 ◎年末年始勤務手当
12月29日から翌年1月3日までの間に実際に勤務したときに支給されるものであることからすると、同業務について最繁忙期であり、多くの労働者が休日として過ごしている上記期間に、同業務に従事したことに対し、その勤務の特殊性から基本給に加えて支給される対価としての性質を有する。
また、年末年始勤務手当は正社員が従事した業務の内容やその難易度等に関わらず、所定の期間において実際に勤務したこと自体を支給要件とするものであり、その支給額も実際に勤務した時期と時間に応じて一律である。
上記年末年始勤務手当の性質や支給要件及び支給金額を照らせば、これを支給することとした趣旨は、郵便業務を担当する時給制契約社員にも妥当するものである。
そうすると、郵便業務に従事する正社員と上記時給制契約社員との間に労働契約法第20条にいう職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても、両者の間に年末年始勤務手当に係る労働条件の相違があることは、不合理であると評価できる。
よって、郵便業務を担当する正社員に対して年末年始勤務手当を支給し、同業務を担当する時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法第20条にいう不合理と認められると解されるのが相当である。

◎病気休暇
会社において、正社員の私傷病に対して有給の病気休暇を与えられているのは、上記正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障を図り、私傷病の療養に専念させることを通じて、継続的な雇用を確保する目的によるものと考えられる。
このように継続的な勤務が見込まれる労働者に私傷病による有給の病気休暇を与えることは、使用者の経営判断として尊重し得るものと解される。
上記目的に照らせば、郵便業務を担当する時給制契約社員についても、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、私傷病による有給の病気休暇を与えることとした趣旨は妥当というべきである。
現に、上記時給制契約社員は契約期間が6カ月以内とされており、有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど、相応に継続的な勤務が見込まれているといえる。そうすると、上記正社員と上記時給制契約社員との間に労働契約法第20条にある職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても、私傷病による病気休暇の日数につき相違を設けることはともかく、これを有給とするか無給とするかにつき労働条件の相違があることは不合理であると評価することができる。
したがって、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法第20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

◎夏期冬期休暇
夏期冬期休暇は、有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ、郵便の業務を担当する原告らは、夏期冬期休暇を与えられなかったことにより、当該所定の日数につき、本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから、上記勤務したことによる財産的損害を受けたものということがいえる。

 

◆日本郵便 大阪事件
争 点 正社員と有期契約社員との間で年末年始勤務手当、祝日手当、扶養手当、夏期冬期休暇等に相違があることは労働契約法第20条に違反しているか否か
原 告 X1‥平成22年4月、郵便事業株式会社と有期労働契約を締結し、更新を繰り返して勤務する時給制契約社員 郵便外務事務(配達等の事務)に従事
X2~X4‥国又は日本郵政公社に有期任用公務員として任用された後、平成19年10月1日、郵便事業株式会社と有期労働契約を締結し、更新を繰り返して勤務する時給制契約社員及び月給制契約社員 郵便外務事務に従事
X3‥平成24年8月1日 有期労働契約から月給制契約社員となる
X4‥平成28年3月31日退職
職務の内訳 正社員(無期契約社員)
期間雇用社員(有期契約社員)
就業規則 [正社員]
勤務時間 東京と同一
人事制度 東京と同一
賃金構成(争点のみ抜粋)・年末年始勤務手当 東京と同一・祝日給 祝日勤務及び1月1日から1月3日に勤務した者に支給
支給額は月給給与額×月平均勤務時間数×100分の135 年始期間には特別休暇を付与・扶養手当 扶養親族のある者に支給する
扶養親族の種類等に応じて一人1,500円~5,800円・夏期冬期勤務手当 東京と同一
[期間雇用社員]
社員区分 東京と同一時給制契約社員
勤務時間 東京と同一賃金構成(争点のみ抜粋)
・年末年始勤務手当 支給されない
・祝日給 支給されず、年始期間の特別休暇はない
※祝日割増賃金はあるが、祝日給とは異なり基本賃金額(時給)の100分の35を乗じた額
・扶養手当は支給されない
・夏期冬期休暇はは付与されない
その他 [正社員]
新一般職は、郵便外務事務、郵便内務事務等の標準的業務に従事することが予定されており昇任・昇格は予定していない
正社員の人事評価基準は、業務の実績、部下の育成指導状況、組織に対する貢献、自己研鑽、状況把握、論理的思考、チャレンジ志向等を評価
配転は予定されているが、新一般職は転居のない範囲で人事異動が命じられる可能性があるにとどまる
[期間雇用社員]
郵便外務事務、郵便内務事務のうち、特定の業務に飲みに従事し、昇任・昇格は予定していない
時給制契約社員の人事評価基準は、上司の指示や職場内のルールの遵守等基準事項、担当する職務の広さとその習熟度
人事異動は、職場及び職務内容を限定して採用しており人事異動はない
郵便局を移る場合は、個別の同意に基づき、従前の郵便局の雇用契約を終了させ、新たな郵便局との雇用契約を締結させる
時給制契約社員に対しては、正社員への登用制度がある
判決要旨 ◎年末年始勤務手当  日本郵便東京事件判決と同趣旨

◎祝日給
年始期間の勤務については、正社員に対して特別休暇を与えられており、これは多くの労働者にとって年始期間が休日という慣行に沿った休暇を設けるという目的によるものと解される。
これに対し、本件契約社員には年始期間について特別休暇は与えられず、正社員に支給される祝日給に対応する祝日割増賃金は支給されない。
年始期間の勤務に対する祝日給は、繁忙期であるために年始期間に勤務したことについてその代償として、通常の勤務に対する賃金に所定の割増をしたものを支給することとされたものと解され、郵便業務を担当する正社員と本件契約社員との間の祝日給及びこれに対応する祝日割増賃金に係る上記労働条件の相違は、上記特別休暇に係る労働条件の相違を反映したものと考えられる。
しかしながら、本件契約社員は6カ月以内又は1年以内とする契約期間とされており、有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者もいるなど、繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく、業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれている。
そうすると、郵便業務を担当する正社員と本件契約社員との間に労働契約法第20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても、上記祝日給を正社員に支給する一方で、本件契約社員に対してこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違は、労働契約法第20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

◎扶養手当
郵便業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給されているのは、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障や福利厚生を図り、扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。このように、継続的な勤務が見込まれる労働者に扶養手当を支給するものとすることは、使用者の経営判断として尊重し得るものと解される。
もっとも、上記目的に照らせば、本系契約社員についても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な勤務が見込めるのであれば、扶養手当を支給することとした趣旨は妥当というべきである。
そして、本件契約社員は6カ月以内又は1年以内とする契約期間とされており、有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど、相応な継続的な勤務が見込まれるといえる。
そうすると、正社員と本件契約社員との間に労働契約法第20条所定の職務の内容や当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情につき相応の相違があること等を考慮しても、両者の間に扶養手当に係る労働条件の相違があることは、不合理であると評価することができるものというべきである。
したがって、郵便業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法第20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当である。

◎夏期冬期休暇 日本郵便東京事件判決と同趣旨

 

日本郵便佐賀事件の争点である夏期冬期休暇についてもこれらの判決と同趣旨の内容です。

今回の日本郵便三事件では、正社員と有期契約社員との間で、契約期間以外では職務の内容、配転、その他の事情等について労働条件に差をつけるほどの

差はないという判断と理解します。

 

以上です。