個別労働紛争解決研修に参加して

11月1~2日の2日間、日本労使関係研究協会が主催する”個別労働紛争解決研修”に参加しました。

この研修は、会社関係者、労働組合関係者、社会保険労務士等17名が参加し、それぞれの立場で、個別労働紛争解決能力のスキルアップを目的に、グループ討議、事例研究、模擬労働審判形式のトレーニングが行なわれました。

今回は特に2つの点が印象に残りました。

1つ目は、今後の労務管理上注意すべきポイントです。

複数の事業所がある会社で就業規則に「業務の都合により、出張、配置転換、転勤を命じることがある。」という規定に基づいて転勤を命令しても、子育てあるいは介護が必要として、本人が転勤拒否を申し出た場合、状況によっては”育児・介護休業法”第26条(労働者の配置に関する配慮)の配慮義務を根拠として転勤を無効と判断される可能性がある、しかもこの傾向が強くなっているということです。

今後、会社はこの点を考慮した人材配置、労務管理が必要になる考えます。

もう1点は、模擬労働審判の尋問です。

労働審判は社会保険労務士として当面直接かかわることはできませんが、あっせん代理人の立場として大変勉強になりました。

申立人(労働者)の代理の立場から①申立人の主張が証明されるような尋問を申立人にする。②申立人の主張に正当性があることを証明させるための尋問を相手方(会社側)にする、あるいは逆に、相手方の代理の立場から相手方、申立人それぞれに尋問するという体験です。

これは初めての体験で、それぞれの立場からどのような尋問をすれば労働審判員に、より有利に受け止めて貰えるかを考えなければならず、大変難しく事前の準備がとても重要であると感じました。

今回は3回目の参加ですが、毎回いろいろな方々と交流ができ、また具体的事例や模擬体験等改めて勉強になりました。今後の労務相談、あるいは労務トラブルの相談を受けた時のための貴重な時間となりました。また機会があれば参加して実務に繋げたいと考えます。