「日本でいちばん大切にしたい会社」

みなさん、こんにちは。

しばらく書き込みをさぼっていると認識を持ちつつ

今日になってしまいました。

 

先週の3月16日(金)、法政大学大学院 坂本光司教授が、

10年ほど前に立ちあげた「人を大切にする経営学会」が主催する

「第8回 日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の表彰式及び記念講演が

ありましたので参加させていただきました。

 

今回表彰された企業は、

経済産業大臣賞   萩原工業株式会社(岡山県倉敷市)

厚生労働大臣賞   コネクシオ株式会社(東京都新宿区)

中小企業庁長官賞  伊那食品工業株式会社(長野県伊那市)

中小企業基盤整備機構理事長賞  株式会社吉村(東京都品川区)

審査委員会特別賞  6社

実行委員会特別賞  3社

以上、13社です。

 

応募者数は、第1回目は55社だったのが今回(第8回)は108社と倍になり、

中小企業だけでなく大企業からの応募も多くなっているそうです。

今回の受賞企業は、従業員20数名から5000人を超える会社までありました。

 

この賞の応募資格は、過去5年以上にわたって

以下の5つすべてに該当する必要があり、自薦・他薦は問いません。

  1. 希望退職者の募集など人員整理(リストラ)をしていない
  2. 仕入れ先や協力企業に対し一方的なコストダウン等をしていない
  3. 重大な労働災害等を発生させていない
  4. 障がい者雇用は法定雇用率以上である
  5. 営業黒字(NPO法人・社会福祉法人・教育機関等を除く)である

応募企業の中から、第一次審査、第二次審査を経て、上記企業が受賞されました。

 

表彰式後の各企業がスピーチで話される共通のフレーズは、

『ES(従業員満足)なくしてCS(顧客満足)なし』です。

従業員満足の向上が顧客満足の向上を生み、それが会社の発展・成長に

つながるという考え方です。

 

受賞企業のスピーチに先立ち、

丹陽信用金庫(兵庫県加古川市)理事長 桑田 純一郎氏の

『人にやさしい経営』 というテーマで記念講演がありました。

 

丹陽信用金庫は、大正15年、生野信用組合として創業、今年93年目の

金融機関で、規模は以下の通りです。

職員数  740名

店舗数  34店

出張所  82か所(店外ATM)

預金残高 7,400億5,600万円(全国261金庫中 54位)

貸出金  2,844億5,700万円(全国261金庫中 72位)

 

桑田理事長は、まず

「自分は金融機関の跡継ぎに生まれたが、自分自身はなにもできない。

職員に頑張ってもらわなければ会社は存続できない。

だから会社のために一所懸命頑張ってくれる職員にいつも感謝している。」

と職員に対する感謝の想いを語られました。

 

経営の基本は、『山林の経営』つまり、

「今の会社があるのは、30~50年前に山に木を植え、草を刈り、

間伐を行って将来のために木を育ててくれたおかげである。

だから今自分たちがすることは、人のため、社会のために、

今後の30年先、50年先のことを考えた『長期の経営』をすることである」

という考えです。

 

そして企業経営で最も大切なことは

「ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の両方を達成させてこそ

会社の未来がある」

というお考え。

 

そのために、創業時代の原点に戻り、

「経営者は親であり、職員はその家族、つまり

理事長は親父であり、職員は息子であり娘である。職員同士は兄弟である。

みんな家族だから、経営の厳しい時も一緒に乗り越えられる」

を信念としています。

 

そこで、新入社員には ”家族” を認識してもらうために、新人研修はまず14日間の

合宿研修を実施します。

その間は、携帯電話を持ち込ませず自炊しながら、実務の研修というより

  • 社会人としての心構え(常識)(学生時代のヨコ社会(仲間)からタテ社会(上下関係)へ)
  • 常にありがとうという感謝の気持ちをもつこと

等を徹底教育します。

 

その後、新人男子は(地元であっても)寮生活を送らせて、

団体生活を通じて ”兄弟” になり、会社の求める人材に育てていきます。

新人職員には、2~3年のうちに社風を徹底的に身につかせ、

一方で職員が困ったことがあれば24時間、365日いつでも

公私を問わずなんでも相談するようにと理事長自身の携帯電話番号まで

オープンにしています。

 

桑田理事長は、新人職員全員の顔写真と経歴・家族構成等を

理事長室に張り出し、名前と顔、所属先、家族構成をこの期間に

徹底的に記憶するそうです。

それは、「従業員のためにどれだけ時間をさいているかが

大切なことであり、経営者に求められる当然のこと」と話されました。

 

ときに、節目節目で、未来のビジョンや自分の想いを熱っぽく語ったり、

また「何が大切か」「なぜ大切か」などという話をするために、

職員と接する時間を少しでも多く作ることを心掛けているそうです。

 

最後に、

「経営者は、誰よりも先に不安を感じる人間でなければならず、

その不安に備えて先に手を打つことができる人でなければならない。

また、経営者は悩む人間でなければならない。

職員(家族)はその姿を見て手助けをしたいと思う。

だから経営者は、従業員に助けを求めよ! それが家族である」

という話で締められました。

 

今回1時間余りのお話でしたが、

桑田理事長の会社経営や職員に対する熱い想いと覚悟が

ヒシヒシと伝わってきました。

 

講演内容をこの欄で十分表現できないのが残念ですが、

多少でも伝わればうれしく思います。