昨年の労働契約法改正で、パートタイマーが平成25年度以降契約更新を繰り返し、5年を経過した後、無期契約へ転換を希望した場合の対策について、先日改めてご相談を受けました。
この場合、まず必要なことは、就業規則の見直しをすることです。
1.会社が無期転換を考えていない場合
重要なのは、最初(平成25年度以降)の労働契約時に、「契約更新は4回を限度とすること」を明確に書いておくことです。
さらに、毎年契約更新するごとに、「残り〇年です。」ということを確認し、無期契約の可能性がないことをその都度伝え、余計な期待を持たれないようにすることです。
2.会社が無期転換を考えている場合
会社は、有期パートタイマーと無期パートタイマーの定義を明確にします。
パートタイマーが5年経過後、希望する場合は無期転換の申込みができることを書きます。
また、無期転換後の労働条件(転換前の労働条件と同一でも構いません)や転換に関する手続等も書いておきます。
さらに、無期パートタイマーの定年を決めておいた方がいいと思います。
3.不合理な労働条件の禁止
有期契約社員と無期契約社員とで、労働条件に差があることを禁止しているわけではなく、合理的な理由がなく差を設けることを禁止しているということです。
不合理かどうかは、以下の事情等を考慮して判断します。
- 職務の内容(業務内容、それに伴う責任の程度)=(例)クレーム処理
- 人材活用方法(人事異動の有無やその範囲)=(例)転勤の有無
- その他「期間の定めがあること」により異なる労働条件とすることが、社会通念上認められる事情があるか
この労働条件とは、賃金、労働時間だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、福利厚生等を含む一切の待遇が含まれます。
厚生労働省の通達では、次の内容が「不合理な労働条件」に該当する可能性があるとしています。
- 正社員に通勤手当を支給するが、有期契約社員には支給しない。
- 正社員は社員食堂を利用できるが、有期契約社員は社員食堂を利用できない。
- 正社員には安全管理上の備品を無償で支給するが、有期契約社員からは、実費を徴収する。
これらを踏まえて、平成30年度までの早い時期に対応策を検討してください。