育児・介護休業法改正

平成24年7月1日より育児・介護休業法が改正されます。

改正点は、これまで従業員100人以下の会社では猶予されていた以下の点がすべての会社に適用となります。制度導入と同時に就業規則に記載し、従業員に周知しなければなりません。

1. 短時間勤務制度

  • 会社は、3歳未満の子を養育する従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならない。
  • 短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則6時間とする。

2. 所定外労働の制限

  • 会社は、3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働させてはいけない。

3. 介護休暇

  • 要介護状態にある家族の介護や世話をしている従業員は、会社に申し出ることにより、介護する家族が1人の場合は年に5日、2人以上の場合は年に10日まで休暇を取得することができる。

改正施行まであと6カ月ほどですが、すぐに月日が経ちますので今から準備をお勧めします。

介護サービス事業者の皆様へ

無料セミナーのご案内

介護保険制度がはじまった2000年の介護に関する総費用は3.6兆円でしたが、2010年には7.9兆円、団塊の世代が75歳を過ぎる2025年には約19兆円と予想されています。しかし、介護事業は『儲からない』、『給与が低い』、『離職率が高い』等のイメージがあります。介護事業者あるいは介護職員の皆さんの高い使命感だけでこの事業が成り立つわけではありません。今回、法改正を機会に改めてこれらの諸問題を一緒に考え、成長・進化を目指したセミナーを企画しました。

テーマⅠ 介護サービス事業者の今後の目指すべき方向を考える

日 時

  1. 2月2日  (木)14:00~15:00
  2. 2月16日(木)15:00~16:00
  3. 3月1日  (木)16:00~17:00
  4. 3月15日(木)17:00~18:00

テーマⅡ 介護職員の労働環境とその改善ポイント

日 時

  1. 2月9日  (木)14:00~15:00
  2. 2月23日(木)15:00~16:00
  3. 3月8日  (木)16:00~17:00
  4. 3月22日(木)17:00~18:00

テーマはⅠとⅡの2種類です。開催日を4日ずつ設けました。それぞれテーマ別の4日間は同じ内容です。

開催時刻を1時間ずつ変更していますのでご注意ください。ご都合のいい日時をお選びください。

・開催場所 札幌市中央区北2条西2丁目 STV北2条ビル1階【プラット22】

・申込方法 メールで以下の内容をご記入ください。

  • 受講予定日
  • テーマⅠかⅡ または両方
  • 事業所名
  • 住  所
  • 代表者名
  • 参加者名と参加人数
  • 連絡先 E-mailまたはFAX

1日の参加人数を10名までとさせていただきます。申し込みがオーバーしたときは変更をお願いする場合がありますのでご了承ください。

介護報酬改定

平成24年度の介護報酬改定率が、

  1. 介護職員の処遇改善の確保
  2. 物価の下落傾向
  3. 介護事業者の経営状況
  4. 地域包括ケアの推進

等を踏まえ、以下のように決定しました。

介護報酬改定率 +1.2%(在宅+1.0%、 施設+0.2%)

【改定の方向】

  • 介護サービス提供の効率化・重点化と機能強化を図る観点から、各サービス間の効果的な配分を行い、施設から在宅介護への移行を図る。
  • 24時間定期巡回・随時対応サービスなどの在宅サービスや、リハビリテーションなど自立支援型サービスの強化を図る。
  • 介護予防・重度化予防については、真に利用者の自立を支援するものになっているかという観点から、効率化・重点化する方向で見直しを行う。
  • 介護職員の処遇改善については、これを確実に行うため、これまで講じてきた処遇改善の措置と同様の措置を講じることを要件として、事業者が人件費に充当するための加算を行うなど、必要な対応を講じることとする。

以上が、『2025年のあるべき介護の姿』を念頭に決定されました。

育児・介護休業法の法改正

平成21年に育児・介護休業法が改正されましたが、当時適用が猶予された従業員数100人以下の会社も平成24年7月1日より適用になります。

  1. 短時間勤務制度
  2. 所定外労働の禁止
  3. 介護休暇

【1.短時間勤務制度】

3歳未満の子を養育する従業員が希望すれば、短時間勤務制度を設けなければならない。

【2.所定外労働の禁止】

3歳未満の子を養育する従業員が申し出た場合は、所定労働時間を超えて労働させてはならない。

【3.介護休暇】

要介護状態にある家族の介護その他世話をしている従業員は申し出ることによって、その家族が1人であれば年間に5日まで、2人以上であれば年間に10日まで休暇を取得することができる。

「まだ半年以上先のこと。」と安心はしていられません。

  • 就業規則の作成・見直し等の整備が必要です
  • 対象従業員、対象外の従業員を労使協定で決めておく必要があります

その他に来春には雇用保険法、介護保険法の改正も予定されています。

派遣労働者の中途解約

少し細かくなるためまず前提となるキーワードから確認します。

  1. 派遣労働者   派遣元から派遣される労働者
  2. 派遣先     派遣労働者を現場で働かせる会社
  3. 派遣元(雇用) 労働者を雇用し、その労働者を派遣先に派遣する会社
  4. 派遣元(登録) 労働者を登録し、その労働者を派遣先に派遣する会社

派遣先が経営上の都合により、その派遣労働者を契約期間の途中で一方的に派遣契約を打ち切った場合にどのような問題が発生するか考えてみます。

派遣先が派遣労働者を契約期間の途中で解約しても派遣労働者を解雇したことにはなりません。なぜなら、派遣労働者は派遣元と契約して働いているからです。

派遣労働者に対する派遣元の対応も、雇用型と登録型で違います。

雇用型の派遣元は、自社で雇用しているので新たな派遣先を手配する等の対応が必要です。

登録型の派遣元は、新たな派遣先がすぐ見つかればいいのですが、派遣先から契約解除されたと同時に何のフォローもせずにその派遣労働者の契約も解除してしまい、それが原因のトラブルも発生しています。

この場合、登録型の派遣元は契約期間については別の派遣先を確保するか通常賃金、あるいは休業手当等一定額を支払わなければなりません。

厚生労働省は派遣先に対しても派遣契約について以下の主旨の指針を出しています。

  1. 派遣先の都合で派遣契約を途中で解約する場合は、派遣労働者の次の就業機会を確保するか、派遣元にその労働者を休業させる場合の休業手当、解雇予告手当相当額以上の損害賠償を支払うことを決めておかなければならない。
  2. 上記1.を決めておかない場合でも損害を賠償しなければならない。

派遣労働者に対しては、派遣先、派遣元がともに責任ある対応をとる必要があります。その都度自社に都合のいいように運用しているとせっかくの有効な制度もかえって規制が厳しくなり活用しずらいものになってしまいます。

有期労働契約の中途解約

会社の業績が悪化した場合にパートタイマー等の有期労働契約の従業員を契約期間の途中で解雇することは可能でしょうか。

労働契約法第17条では、「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。」と規定があります。

つまり、よほどの理由がなければ、期間の途中で解雇することはできないということです。半年・1年の雇用契約を締結して、数か月を残しての中途解約は認められる可能性が低いと考えます。対応によっては支払わなければならない額が変わってきたりします。

  1. 会社の都合で休業させた場合        ➪ 平均賃金の60%
  2. 解雇して解雇無効により賃金請求された場合 ➪ 通常賃金

また、同じパートタイマーでも契約更新を繰り返し、期間の定めのない契約と実質同じような従業員の場合は、正社員と同レベルの整理解雇の有効性が焦点となります。これまでの判例から以下の4要件が問われます。

  1. 解雇しなければ会社が倒産する等経営上人員削減が必要か
  2. 一時帰休や希望退職者の募集等解雇回避努力はしたか
  3. 被解雇者の選定基準は客観的に合理的で公正に行ったか
  4. 従業員に状況を十分に説明・協議し、理解を得られるよう努力したか

結論としては、たとえ業績が急に悪化した場合でも、パートタイマーだからと言って安易に期間の途中で解雇することはよほどのことがない限りなかなか認められないようです。

なぜ就業規則の見直しが必要か?

就業規則は、10年くらい前までは「社員が10人になったので作成して労働基準監督署に届け出ておこう。」というのが多くの方の認識でした。

最近は、就業規則の作成、見直し等の必要性が強調されますが、それは労使間のトラブルが増加しているためです。

トラブル増加の原因は、今までの労使慣行(終身雇用、年功賃金等)が崩れたことが大きな要因と考えます。

急速に変化する雇用労働環境に対応するために労働基準法、雇用保険法、育児介護休業法等の法改正が頻繁に行われました。

就業規則見直しを考えるポイントをいくつか挙げてみました。

【社  員】 今までは正社員がほとんどでその補助としてパート社員がいました。しかし、今では、パート社員も正社員と同じ仕事をしています。その他に契約社員、嘱託社員等雇用形態は多様化しており、それぞれに対応した規定が必要です。

【労働時間】 今までは多くの会社が労働基準法に定める1日8時間、1週40時間という労働時間の範囲で規定して、多少のサービス残業はみて見ぬ振りをしていたのが実情です。ここ数年、残業に対する賃金の未払いが問題となっており、1年単位あるいは1カ月単位の変形労働時間制を導入して時間外労働を管理する等の対応をしている会社が増加しています。

【休  職】 昔は結核は不治の病と言われ、栄養を取って静かに寝ているしかありませんでしたが、今では薬で治るため長期療養は必要ありません。今は、現代病の代表であるうつ病等メンタルヘルスの規定や対策(休職、復職、退職)が必要です。

【服務規律】 昔は紙によって持ち出された社内情報、個人情報が、今ではパソコン操作一つで簡単に流出します。これからは情報の管理体制を明確にし、流出させた場合の対応および処分もきちんと規定しておかなければなりません。また、セクハラ、パワハラの対策も必要です。

その他に、会社の経営が厳しいと言って一方的に残業代をカットしたり、給料を減額したりという話を聞きます。しかし必要な場合は法律に基づき「不利益変更」の手続きをすることによってトラブルは回避できます。

代表的なものを一部列記しましたが、参考になることはあったでしょうか。

社員3人の会社の事件!

これは社員3名を雇用しているソウト開発会社の代表(X氏)から伺った話です。

事業を始めて5~6年の会社ですが、家族的な職場の雰囲気を大事にしていました。

業績が伸びて業務も忙しくなったため、一人の正社員(Aさん)を中途採用しました。数か月経過したころからAさんは、業務中仕事に集中せず、ボーッとしているようになりました。注意しても直らないので、病院に行くよう勧めました。

病院の診断書は、うつ病でした。X氏は、Aさんと今後のことをいろいろ話し合い「仕事を辞めてきちんと病気を治したほうがいい。」という話をしました。Aさんも「じゃ、辞めます。」と返事をしました。X氏は退職の手続きをすませ、すべて終わったと思っていました。

この件についてほとんど忘れて忙しく業務をこなしていたX氏に、半年ほどたったある日、弁護士から一通の書類が送られてきました。

内容は、Aさんの代理人として「不当解雇に対する精神的損害賠償として、600万円を請求する。」ものでした。

家族的な職場の雰囲気を大事にしていたX氏は、Aさんを無理に辞めさせたつもりはなく、話し合いの上で、Aさんの体を気遣い、退職を勧めたつもりでいました。(当然労働基準法の知識はありません。)

この事件は、労働審判に持ち込まれ最終的に金銭的和解で合意しました。

X氏は、なぜこのようなことになったのかを考えていました。そんな矢先、次の事件が起きました。

別の社員(Bさん)がある日、出社せず連絡も取れなくなりました。無断欠勤です。3日目にようやく連絡が取れたBさんは、「体が重くてずっと寝ていた。」とのことでした。

家族的雰囲気の職場を重視するX氏は、翌日出社したBさんに無断欠勤を注意し、この間の仕事を取り戻すよう促しました。

問題発生はこの後です。

この様子を見ていた他の社員(Cさん)が、「無断欠勤をしたのに、なぜ処分をしないのか。」と不満を口にしました。「休んだ分の仕事をすぐ取り戻せばいいという問題ではない。そういうことであればみんな勝手に休むようになる。」という主張です。

X氏はCさんの意見に反論できませんでした。しかし、Bさんを処分もできませんでした。なぜなら社内に処分するルールを作っていなかったからです。

ルールがないまま処分すれば、その時の気分や相手によって処分内容が変わり、それも問題発生の一因になります。

X氏は多くの人に悩みを打ち明け、相談し、最終的にAさんの件から休職・復職・退職、Bさんの件から服務規律を念頭に社内ルール【就業規則】を作成しました。家庭的な職場の雰囲気は壊さないように心掛けたうえで指導を受けながら運用を考えています。

皆さんは、この会社は社員に恵まれない運の悪い会社だと思いますか。

それとも、十分あり得る問題だと考えますか。

北海道最低賃金 時間額705円

北海道内で事業を営む会社経営者及びそこで働くすべての労働者(臨時、パートタイマー、アルバイト等を含みます。)に適用される北海道最低賃金(地域別)が改定されました。

時間額 705円 (効力発生年月日 平成23年10月6日)

最低賃金には、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、および時間外等の割増賃金は算入されません。

一部特定の産業は、産業別最低賃金が適用されます。