割増賃金計算と除外できる手当!

割増賃金の計算方法は、皆さんご存知のことと思います。

1時間単価=月給額(月給制の場合)÷月平均所定労働時間数

月給額のうち割増賃金の計算から除外できる手当があることを知っておられる方も多いと思います。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 子女教育手当
  4. 住宅手当
  5. 臨時に支払われた賃金
  6. 一か月を超えるごとに支払われた賃金

これらは法律で決められた除外できる手当ですが、会社で独自に決めた手当(例えば皆勤手当)は原則として計算の基礎から除くことはできません。しかしだからと言って基本給を抑えて、上記手当を多くしても実態が伴っていなければ賃金とみられます。例えば

家族手当として「妻帯者 2万円、独身者 1万円」等の一定額を支給する場合は、賃金とみられる可能性があります。

通勤手当として通勤距離に対して一定額を支給する場合は、一部賃金とみられる可能性があります。

住宅手当として「賃貸住宅 1万円、持家住宅 2万円」等の一定額、あるいは全員に一律に定額を支給する場合は、賃金とみられる可能性があります。

逆に、営業手当、役職手当等を「時間外手当、深夜労働、休日労働」の代替として当てる旨明確に就業規則等に記載があれば除外できることもあります。

皆さんの会社では、余分な手当を含めて割増賃金の計算をしていませんか。あるいは、計算に必要な手当てを除いて計算していませんか。あわせて就業規則(賃金規程)の手当をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。

精神障害の労災認定増加!

厚生労働省によると平成22年度の精神障害による労災補償の請求件数、支払い決定件数が過去最高になりました。

請求件数は1,181件(前年比45件増)、支給決定件数は308件(前年比74件増)

労災認定された支給決定件数308件のうち、具体的な発症原因上位10項目を以下に列挙しました。発症の主な原因は、長時間労働よりも職場内の人間関係による心理的負荷が大きいことが分かりました。

1. 仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった    41件

2. ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた          39件

3. 悲惨な事故や災害の体験(目撃)をした             32件

4. 勤務・拘束時間が長時間化する出来事が生じた          25件

5. 上司とのトラブルがあった                   17件

6. 重度の病気やけがをした                    16件

7. 顧客や取引先からクレームを受けた               10件

8. 退職を強要された                       10件

9. 複数名で担当していた業務を一人で担当するようになった       9件

10. セクシュアルハラスメントを受けた               8件

今回特に重要視されたのが、セクシュアルハラスメントの問題です。

今年になって、セクハラ行政訴訟の和解がありました。これは厚生労働省がセクハラによる精神障害を労災と認め和解提案をして、原告が受け入れたものです。厚生労働省では、あわせてセクハラに対する労災認定の判断基準の見直しを進めており、年内にも新指針が発表される予定です。

皆さんの会社では、セクシュアルハラスメントの対策はお済みでしょうか。

コミュニケーションは難しい!

8月に入って携帯電話(スマートホーン)を購入しようと思い、ショップに行きました。

店頭でサンプルを見ていると、新機種が並ぶ中で旧モデルが格安で表示されていました。使い慣れるまで古い機種で契約をしようと席につきました。

ところが格安の表示価格は、自分に不要なオプションを付ける必要があったり、購入後の毎月値引きであったり、いろいろ説明されましたがその場では理解できませんでした。なぜこのような価格表示になっているか等疑問点を質問していると店員のかたもだんだん表情が硬くなり、20~30分後結局買わずに帰ってきました。

数日後同じブランドの別の店に行ってみました。価格体系はほぼ同じ内容です。サンプルを見ながら前回と同じような質問をしてみました。そうすると今回はある程度理解でき納得しました。店が混んでいたためその日は買わずに帰りました。

私は最初の店より2番目の店の説明がなぜ理解できたのかを検証してみたくなりました。意地の悪い私は、さらに別の店に行ってみました。また同じような質問をしてみると、今度は私が何を質問したかわからなくなるほどチンプンカンプンな説明を受け、早々に帰ってきました。

私は、3店舗で同じ疑問点を質問しました。しかし、説明のポイントがそれぞれ違うのです。質問者が同じで質問内容を同じにしていますから、これは、質問を受ける側(今回は店員)の解釈に原因があると思いました。

受け手(店員)は質問者が何を聞きたいかを理解すること。次に質問に対する説明をきちんと相手に伝える能力が必要です。そうでなければ本人にいくら知識があっても相手に伝わりません。

今回、私自身の仕事に置き換えても、十分あり得ることだと思いました。せっかく相談を受けても相談者の本音を理解せず、当たり障りのない表面的なアドバイスをして終わっている可能性があります。相談者もモヤモヤ感が残り、結局何も解決していなかったことになります。

最終的に私は、2番目に行ったお店で購入しました。ちなみに購入したスマートホーンはまだほとんど活用できていません。私にとって操作は思った以上に難しいものです。

厚生年金保険料9月から値上げ!

平成16年の法改正により、厚生年金保険料率が平成29年まで毎年9月に0.354%ずつ引き上げられることになっています。

そのため今年も9月から16.412%となり、これを労使折半で8.206%ずつの負担になります。

従業員の方にも給与から社会保険料として控除される額が変わることを説明しておいた方がいいと思います。

1か月単位変形の時間外労働の計算は?

1か月単位の変形労働時間制を導入している会社では、時間外労働をどのように管理されているでしょうか。

たとえば、シフトした1か月の労働時間(所定労働時間)を超えた時間を時間外労働として計算されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず、1か月の法定労働時間の総枠

40時間×変形期間の暦日数(1カ月)÷7 で計算し、1か月が31日の場合は 177.1時間となります。

しかし、労働基準法第32条には、労働時間は休憩時間を除き、週40時間 1日8時間 しか規定がありません。つまり1カ月177.1時間は法定労働時間の総枠に収まっているかの目安であり、法律に決められた法定労働時間ではありません。

この場合の時間外労働の管理は、シフトした1日の所定労働時間が8時間ならそれを超えた時間、9時間ならそれを超えた時間が時間外労働となり割増賃金となります。

ちなみにシフトした時間が7時間で1時間の残業をした場合は、1時間分の通常賃金を支払えばよく割増にはなりません。

次に、シフトした週の所定労働時間が40時間ならそれを超えた時間、45時間ならそれを超えた時間が時間外労働になります。

最後に、1か月の総枠を超えた時間があればその時間を時間外労働として計算します。

大まかな内容となりましたが、多少ともご理解いただけたでしょうか。

最低賃金を800円に!

厚生労働省では、2020年までに最低賃金を800円まで引き上げることを目指し、その支援対策を設けました。

地域別最低賃金額が700円以下(北海道も入ります。)の地域の中小企業が対象です。

① 4年以内に最低賃金を800円以上にすること

② 業務改善計画(賃金制度、就業規則の作成、研修他)を作成し、実施すること

この支給要件を満たした事業主(支給対象事業主の条件は別にあります。)に、業務改善経費の2分の1(下限額5万円、上限額100万円)を「業務改善助成金」として支給します。

今回の助成金は、賃金引き上げの対策に要した費用に対するものです。(引き上げた最低賃金分を助成するものではありません。)

概略は、こちらをご確認ください。

契約(変更)は必ず書面で!

先日、ある裁判を担当された原告側弁護士から判決内容を聞く機会がありました。

訴訟の主な内容は、退職した従業員(原告)が会社(被告)に「賃金の減額による未払い分の賃金を支払え。」というものです。

会社側(被告)は、「賃金を減額することは従業員に説明し、同意を得ている。」と主張しました。

この会社(被告)と従業員との賃金決定は、以前の職場の賃金をもとに個々に決定しており、この従業員(原告)とも年額基本賃金を決定し、手当も賞与もなしという契約をしました。

被告の会社は中途採用が多く、従業員の賃金にバラツキがあり、不公平な格差が生じたため全体の賃金体系の見直しを必要と考えました。

被告は、原告の1か月当たりの基本賃金を減額しました。そのかわり従来はなかった「職務手当」(定額制時間外賃金として)と、年2回の賞与2カ月分を支給することとしましたが、年間総額では、約2割の減額としました。

被告はこれを原告に入社2カ月後に説明し同意を得て、その2カ月後の賃金支払日から実施しましたが、労働条件承諾書に署名させたのは、初めて説明してから1年後でした。

原告は、賃金減額の同意を否認しています。原告は、賃金減額を提示されたとき、「ああわかりました。」と返事をしたことは認めています。

その点を裁判官は、「そのこと(『ああわかりました』)が賃金減額に同意したとの認定は困難である。その理由は、労働者が経営者側に不評を買わないようにしたり、その場では差し障りのない返事をすることはよくあることである。しかし、賃金減額は労働者の生活を直撃する重大事であるから簡単に承諾できることではない。合意を得たのであれば、通常その時点で書面を取り交わしておくものである。」としました。

「職務手当」(定額制時間外賃金)についても興味深い解釈がありましたが、こちらは別の機会にします。

この裁判の判決は、ほぼ原告の主張が認められたものになりました。この裁判は、控訴されています。

この会社(被告)は就業規則があり、賃金規定も諸手当も時間外労働に関する規定もありましたが、規則が会社にあっていなかったのか、うまく運用されていなかったのか、結局数百万円の大きな金額を支払うことを命じられました。

メンタルヘルス対策

「メンタルヘルス」というキーワードはよく目にするようになりましたが、皆さんの職場で対策はお済みでしょうか。

メンタルヘルス疾患の原因は、過重労働やノルマ・締切のプレッシャー、あるいは人間関係の軋轢等職場環境によるものと、本人の性格やストレス耐性等個人の問題と考えられるものがあります。

メンタルヘルス疾患は、本人が気づく場合と、周囲の人が「あの人の様子が最近おかしい。」と気づく場合があります。

具体的に診断されると、本人の性格によって「会社に迷惑をかけるので早く職場に復帰したい。」と考える人と、「自分がこうなったのは会社のせいだ。あるいは上司のせいだ。」と主張し、場合によってはわがままと思われるような要求をしてくる人もいます。

これらの問題を未然に防止する解決策はありませんが、問題が発生したときの対策を就業規則等で決めておく必要があります。

問題が発生したときは、会社は個別にその時点で最善と思われる方法を適切に対応していくしかありません。まず、主治医に受診させます。よく聞く話は、まじめな従業員ほど早い職場復帰を望み、主治医に「職場復帰可能」と診断書に書くよう依頼するそうです。

主治医は会社の状況・職場環境・業務内容等を把握しないまま、本人の主張に沿った内容の診断書を書いてしまうことも多いようです。逆に会社側が心配になり、本人了解のうえで主治医と面接したり、主治医と会社の担当医(産業医)と連携して対応していくこともあります。

また、復職と休職を繰り返すことも考えられます。主治医が復帰を認めた場合でも、会社は完全復帰とはせず、様子を見るためリハビリ期間を設けるのも一つの方法です。その期間中に再発した場合の対処も決めておく必要があります。

これらの内容を具体的にどこまで就業規則等に規定するかはそれぞれ会社の考え方によって当然違ってきますが、「会社として対応を考えている」という意思を表すことで、従業員から安心感や信頼感を得ることができるはずです。

最後に専門機関・対策機関を一部掲載します。

・北海道安全衛生サービスセンター

・メンタルヘルス対策支援センター

・北海道立精神保健福祉センター

・札幌地域産業保健センター

・日本産業カウンセラー協会

売上UPはこの方法!

先にお断りします。私は売り上げアップのノウハウを持っていません。これから私が最近受けたセミナーでほんの一部ですが、印象に残ったお話をしたいと思います。

まず、株式会社サポルテ 塚田 康祐 講師の「ビジネスコーチング」です。内容は、まず身近な人に関心を持つということでした。具体的には、たとえば隣の人の長所を3分以内に10個以上書き出してみてください。私には思ったより難しいことでした。これは普段、人の欠点に目が行くからだそうです。

また、質問には二種類あるということです。それは、自分が聞きたい質問と、相手が話したいと思う質問です。具体例として営業会議で売上未達成の部下に、はじめの質問は、「なぜ、売り上げが上がらないのか?」 あとの質問は、「どうしたら売り上げが上がると思うか?」 違いがお分かりでしょうか。

少なくとも私は初めの質問ではモチベーションは上がらず、逆に押し黙ってしまいそうです。なるほどと思い、いざ質問を試みましたがやはり考えを引き出す質問というのは難しいものです。今後意識してあとの質問のしかたを心がけようと思います。

次に、株式会社ピーオーピーオリジン 沼澤 拓也(通称POPスター 沼澤 拓也)講師です。この方のお話は自分を見つめ直す意味で大変勉強になりました。自分をアピールするには、まず自分がどういう人間か、何を考えているかを再認識しなければなりません。次にそれを表現する仕方です。私は、日常に流されてあまり深く考えたことはありませんでした。

この機会に自分を振り返り、自分の目指す方向をキャッチコピーにしました。

「3つの安心をガッチリ!サポート」

この意図は、労使トラブルを最小限におさえるには労務管理上の予防と対策=就業規則の作成・見直しであり、、事業経営に安心して取り組んで頂けるようサポートさせて頂きたいという思いです。

すいません。やはりタイトルとは別の結論になってしまいました。

労働条件を変更したい!

法改正あるいは経営環境の変化によって、労働条件を変更しなければならない状況が考えられます。労働条件を変更するときは、原則として個別に労働者との合意が必要です。この合意は労働者の自由な意思に基づいたものであることが前提です。会社の決定に従業員が異議を述べなかったことを理由にしても合意とは認められない可能性があります。会社の説明に錯誤、あるいは脅迫があったと判断されたときも合意とは認められません。

就業規則の労働条件を変更するときは、その就業規則に変更する場合があることを規定し周知しておかなければなりません。それを踏まえたうえで変更の有効・無効の判断は、以下の通りです。

1. 会社側に変更の必要性がある

2. 就業規則の変更により労働者が被る不利益の程度

3. 変更後の就業規則の内容の相当性

4. 代償措置その他労働条件の改善状況

5. 労働組合等との交渉の経緯

6. 同種事項に関する社会の一般状況(同業種あるいは同規模)

 

上記項目は、過去の判例を判断基準として列挙していますが、争いになった時最終的には担当した裁判官の判断になります。

特に、「賃金」の見直しは、労働者の生活に直結するため、慎重な対応が必要です。そのため実施する場合でも3~5年くらいの経過措置を設けたほうがいいと思います。