労働条件は、雇用契約と就業規則のどちらが優先?

先日、ある社長から次のような質問を受けました。

「当社では、労働時間を午前8時30分から午後5時30分、休憩時間1時間という労働条件で個別に雇用契約を締結しています。就業規則はありますが、10年以上前に作成したもので、午前9時から午後5時30分のままになっています。以前に、就業規則より個別の契約が優先すると聞いたことがあったので大丈夫と思っていました。最近採用した従業員から指摘され、不安になってきました。問題があるでしょうか?」

個別の雇用契約の労働時間は、8時間です。一方、就業規則の労働時間は、7時間30分です。いずれも労働基準法の範囲内です。

個別の雇用契約の条件が、就業規則より優遇されている場合には雇用契約が優先します。

今回の場合は、個別雇用契約の内容が就業規則に定める基準に達しないため、個別の契約は無効となり、就業規則が適用されます。(労働契約法第12条)

ちなみに、労働基準法の基準を下回った就業規則は、その部分は無効となり労働基準法が適用になります。(労働基準法第13条)