労働基準監督署の是正勧告

先日、ある事業所が労働基準監督署から2点是正勧告を受けました。

ひとつは労働契約書に書かなければならない項目が書いていないという不備があったことです。

労働基準法15条で『労働契約を締結する際は労働条件を明示する』ことが、さらに労働基準法施行規則5条で、労働契約書に記載しなければならない項目(絶対的記載事項)が定められています。

    1. 労働契約の期間
    2. 就業の場所及び従事すべき業務
    3. 始業及び終業の時刻、残業の有無、休憩時間、休日、休暇等
    4. 賃金、計算及び支払方法、締切及び支払時期、昇給
    5. 退職(解雇事由を含む)
    6. その他会社で定めが有る事項

 

二つ目は労働者名簿を作成していませんでした。

労働者名簿の作成は、労働基準法107条に定められており、施行規則53条には

    1. 性別
    2. 住所
    3. 従事する業務の種類
    4. 雇入れの年月日
    5. 退職の年月日及びその事由(解雇の場合はその理由)
    6. 死亡の年月日及びその原因

を記入しなさいとあります。(30人未満の会社は、”3.従事する業務の種類” は省略できます。)

ひとつの会社に、2以上の事業所がある場合は、それぞれ個別に労働者名簿を作成する必要があります。

 

この会社は、パートタイマーの契約に関する事項が曖昧な契約書でした。

例えば、『1年ずつ契約更新する』と書かれていましたが、実際は面接や更新内容の確認など更新の際の手続を行わず、慣習的に自動更新を行なってきました。

それでも事業を始めて30年超。いままで大きなトラブルもなく『自分の会社は大丈夫だろう。』とこれまでやってきました。

しかし今年はじめ、長年勤めた従業員に対して「70歳」という年齢を理由に契約更新をせず雇止めとしました。

それに不満を持った従業員が、労働基準監督署に相談に行ったため、調査する中で退職の手続に大きな問題はなかったものの今回の上記違反が発覚しました。

今回の事例は、”労働契約書” という書面は整っていましたがその中身が不備であったり、知識不足で法律で定められた書類を整えていなかったりというものです。

これらは他人事ではありません。皆さんの会社は、大丈夫でしょうか?