新入社員を採用するときは、採用試験や面接をして業務に対する能力や性格等を見極めて採用を決定されているはずです。しかし、採用後「失敗した」と思った経験のある経営者あるいは採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。対策として試用期間を設けている会社もあると思います。
では、試用期間中であれば採用をキャンセルすることは可能でしょうか。結論から言いますと、試用期間といえども採用をキャンセルすることは解雇と同様に見られ簡単にはできません。現在主流の考え方は、「留保解約権付労働契約」というものです。つまり試用期間といえども労働契約は成立しています。しかし、契約を解約する権利は一部残しておくということです。
試用期間中に採用をキャンセル(解雇)することが認められたケースは、就業規則に 「試用期間中の勤務成績・態度、経歴詐称、健康状態他社員として不適格と認めた場合は解雇する」 旨規定があること他いくつか判例がありますが、争いになったとき最終的には裁判官の判断になります。
採用のキャンセル(解雇)によるトラブルを最小限におさえる対策としては、
1. 勤務態度等会社が注意した日時、内容等を記録し保存しておく。
2. 注意と同時に「このままでは試用期間終了時点で採用をキャンセルする」旨伝える。
3. 注意した時、同時に反省を促し、本人に改善方法を書面で提出させる。
4. 能力が不足している場合は、試用期間の途中でその旨を伝え努力を促し、試用期間終了時点で採用をキャンセルする可能性を示唆する。
採用された本人からすれば、試用期間終了と同時に採用しないと言われればやはりショックだと思います。会社としてどうしても不適格と判断する社員がいれば、なるべく早く本人に注意し、努力を促し、場合によっては採用を取り消されることがあると意識させることで試用期間終了時点で突然言われるよりはショックは少ないと思います。