先日、「着替えの時間は労働時間と見なければならないのか?」との質問を受けました。
『従業員は、本来”作業に適した服装”で労務を提供しなければならず、不適当な服装と判断した場合は、会社はその就業を拒否できる。』とういうのが学説(コメンタール労働基準法)の通説で、着替えの時間は原則として労働時間には当たらないと考えます。
では、例外とするその時間が会社の指揮命令下にある労働時間と認められる具体的な場合とは、
① 会社の命令で着替えることが義務付けられ拘束されており、かつ服装について点検がその場で行われる場合
② 業務の性質上、作業服に着替えて作業しなければならないもので、服装管理を会社が行なっている場合(警察官・消防士・ホテルのボーイ・ガードマン等)
③ 業務の性質上、特殊な服装をしなければならない場合(熱処理現場の耐熱服、商品等の宣伝用服装)
以上から、業務上の必要性、義務性、会社の直接的な指揮命令下で行なう等拘束性がある場合は、労働時間と認められ可能性が高くなります。
しかし、会社の規則で、始業時刻までに作業服・安全帽等の着装が義務付けられていて、更衣室での装着までは義務付けられておらずそこに保管されている状態で、作業着等での通勤に心理的抵抗があり、会社で作業着に着替える場合の時間は、一般的には労働時間と扱わなくてもいいと考えます。