労働時間の管理

労働時間とは、労働者が会社の指揮命令下にある時間であり、労働契約書、就業規則で定めている時間だけを労働時間とみることではありません。

例えば、始業時刻前の全員で慣行的に行われている清掃時間、あるいは伝達事項や職場規律の確認のための朝礼等は指揮命令下にある労働時間と判断される可能性が高いと考えます。

仕事前の着替えの時間は、原則として労働時間とはみられませんが、制服が決まっている(警察官、消防士、ガードマン等)場合は労働時間に含まれます。

業務の引継時間は労働時間です。休憩時間中の電話当番も労働時間です。

業務終了後クレーム対応のため、あるいは休日の緊急事態に備えて会社の携帯電話をそばにおいて行動しなければならない時間は、一概に労働時間とは判断できません。

また、夜勤看護師が急な欠勤や突然休暇になったときの人員不足に備えて当番制で自宅待機している看護師等の場合は待機の状況によります。ある程度自由に時間を過ごしている中で仕事が入った場合は、それまでの待機時間は労働時間とみられない場合が多いようですが、具体的にそのときの状況によって判断されます。夜間宿直も状況によって判断が分かれます。

訪問介護事業所では、ホームヘルパーが自宅から利用者宅へ向かう時間は通勤時間であり労働時間ではありませんが、一度出社してから利用者宅へ向かう時間は労働時間になります。利用者宅から利用者宅への移動時間、利用者宅から会社に戻る時間、報告書を作成する時間は労働時間ですが、利用者宅から自宅に戻る時間は通勤時間になります。

派遣労働者は、派遣元の会社と雇用契約を結んでいますが、労働時間については派遣先に管理する義務があり、時間外労働、休日出勤は派遣元で締結した36協定の範囲で派遣先の会社が責任を負います。

管理監督者は、深夜時間を除き労働時間の制限はありませんが、会社内の管理監督者の定義が曖昧なためトラブルになった事例はあります。

厚生労働省は、この十数年特に労働時間の管理指導に重点を置いています。。長時間の残業によるメンタルヘルス疾患の予防が主な目的であり、その一環として時間外労働の割増賃金支払いを強く指導しています。

会社として労働時間の管理は、タイムカードによる方法でも自ら確認する方法でもかまいませんが、トラブルを予防するためにも、また不幸にしてこれらのトラブルが発生したときの反証材料のためにも有効となります。