雇用調整助成金の分かりずらい理由

みなさん、こんにちは。

新型コロナによる日常生活の変化にどう対応されていますか?

政府は、持続化給付金をはじめとする様々な補助金や特別融資を発表していますが、

スピード、タイミング、手続の煩雑さなどからあまり評判がよくありません。

 

そのひとつが『雇用調整助成金』です。

私は、もともと助成金を積極的に取り扱っておらず

顧問先にも対象と考えられるお客様がいなかったため

概要を斜め読みする程度で済ませていました。

 

4月の連休前に、突然ある居酒屋さんから

「雇用調整助成金の申請をお願いできないか」

という電話をいただきました。

基本的には、1年以上顧問契約をしていただいている会社でなければ

  • 従業員数が把握できていない
  • 代表の法令順守意識がわからない
  • 必要な帳票が揃っているかわからない
  • 不支給決定された場合に責任を転嫁されかねない

等の理由からお断りしていますが、今回は、

  • 以前に行ったことのある居酒屋さんで社長と面識があった
  • 今回の緊急事態宣言に伴う休業で本当に困っておられる様子だった

ことから、取りあえずお話を伺うことにしました。

 

お店は、3月に数日、4月は半月休業し、5月は全休を予定しており

従業員の賃金は会社の資金だけでは賄えず、社長個人の貯えからも補い

100%の賃金を支払いながら営業再開を待っていると赤裸々にお話して

くださいました。

さすがに私も、こういう時にこそお受けすることがこの仕事に携わる者の使命と思い

  • 提出する帳票に改ざんがないこと
  • 不支給決定される可能性もあること

などを承知していただき、手続をお受けすることにしました。

 

社長が一番戸惑っておられたことは

助成額の算定が、実際に支払った賃金(休業手当)に対して

支給率が4/5(4月7日まで)や9/10(4月8日以降)ではなく

前年度の確定保険料算定における賃金総額に対する支給率であることです。

また、雇用保険適用事業所番号とか労働保険番号とは

何の番号でどこに記載されているものなのかがわからないとも

おっしゃっていました。

 

私自身も

  • 休業協定書
  • 休業等実施計画(変更)届(様式第1号)
  • 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式第4号)

の作成までは良かったのですが、

  • 支給申請書(様式第7号)
  • 助成額算定書(様式第8号)
  • 休業・教育訓練一覧表(様式第9号)

は、それぞれ4月7日までとか、4月8日以降とか、4月1日をまたぐとかと

様式が分かれており、はじめは何が違うのか、どの様式を使えばいいのか

戸惑ってしまいました。

 

5月中旬、書き方にミスや訂正箇所はないかチェックを受けようと書類をそろえて

労働局へ行くとやはり混んでいて1時間ほど待ちました。

 

労働局の担当者は、雇用調整助成金は変更点が多く、わかりずらいと連日マスコミで

批判されているなかで丁寧に対応していただきました。

担当者から指摘を受けたのは、支給要件確認申立書・役員等一覧(様式第6号)の

様式がいつの間にか変更されており、質問項目が20(従来は18項目)の様式を

用いなければならないことでした。

 

作成した様式は、

  • 休業協定書
  • 休業等実施計画(変更)届(様式第1号)
  • 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書(様式第4号)
  • 支給申請書(様式第7号)(3月分と4月分)
  • 助成額算定書(様式第8号)(3月分と4月分)
  • 休業・教育訓練一覧表(様式第9号)(3月分と4月分)

さらに、支給算定方法が異なる被保険者以外の従業員分の同種類の様式のほか

  • 人数分の労働者名簿
  • 人数分の賃金台帳(なければ給与支払い明細など)
  • 人数分の出勤簿(タイムカードなど)
  • 就業規則

を一式そろえて準備完了です。

 

5月20日に、社長にこれらの様式の必要な箇所に押印と捨印をお願いしにうかがうと

社長は、印鑑を押しながらしみじみと

「これだけの書類を私らはやっぱり作れないですね」とおっしゃいました。

 

やっと出来上がった書類を数日中に労働局へ持参しようと思いながら

労働局のホームページをチェックしていると

従業員20人以下程度の小規模の会社及び個人事業主を対象とした簡易版の

雇用調整助成金新様式がまた追加掲載されていました。

 

私は、代表印をいただいていたこともあり改めて書類作成することはせず、

5月25日に労働局に申請を済ませました。

 

 

6月にもう一度5月分の申請予定があるため、25日からオンライン申請可能という

情報を得ていたので事務所に戻ってから次回のために事業所登録だけでもして

おこうとホームページを開くと『不具合発生により中止』となっていました。

厚労省も一所懸命なのでしょうが、空回り感が否めません。

 

以上が、助成金に不得手な私が手掛けた雇用調整助成金の申請までの経緯です。

 

このページを掲載する直前(6月1日午前)に労働局から、「支給が決定した」

旨連絡をいただきました。申請日から1週間後でした。

翌週には振り込まれるとのことです。

最初は戸惑いましたが、最終的に申請が通り、事業者様にも喜んでいただき

ホッとしました。

 

みなさん、緊急事態は解除されましたが、

新型コロナはこれからも潜在し続けるといいます。

お互いに感染しないよう、そしてさせないよう気を付けながら頑張りましょう。