みなさん、こんにちは。
厚生労働省は、残業時間に一定の上限規制を設ける労働基準法改正案を秋の臨時国会に提出する準備を進めていますが、今回は現状の36協定と特別条項について確認したいと思います。
〇 一般労働者の時間外労働時間の上限は
- 1ヶ月 45時間
- 3か月 120時間
- 1年間 360時間
※ 1年間の限度時間が360時間の根拠は 45時間 × 12か月 × 2/3 = 360時間
〇 特別条項を設けた場合の1年間の限度時間
[事例1] 1ヶ月60時間(45時間+15時間)の場合
1年間の限度時間=(45時間×6か月)+(60時間×6か月)=630時間
[事例2] 1ヶ月70時間(45時間+25時間)の場合
1年間の限度時間=(45時間+6か月)+(70時間×6か月)=690時間
[事例3] 1ヶ月80時間(45時間+35時間)の場合
1年間の限度時間=(45時間×6か月)+(80時間×6か月)=750時間
上記事例のような考え方ができますが、現在の法令では1ヶ月の残業時間に上限がありませんので、100時間でも労基署は受理してくれるはずです。ただし、担当者によっては、「休養・休日はどのように確保していますか?」などと質問・指導を受ける場合があるかもしれません。
長時間労働を何とか短縮しなければいけないと考えていらっしゃる社長は多いと思いますが、中には、実際には1年間に1000時間の残業時間があるにもかかわらず、600時間程度にして特別条項付き36協定を届け出ている会社もあります。明らかに労働基準法違反です。
36協定の届出は現状に基づいて提出しなければなりません。
そのうえで今後、効率化を図るためには何に投資すべきか、そして残業時間を短縮するために必要なことは何かを考えることです。
〇 特別延長時間の割増率
- 1ヶ月の残業時間 45時間まで 125%
- 45時間超60時間まで 125%+α(労使合意の割増率(努力義務))
- 60時間超 150%(大企業は義務、中小企業は当面努力義務)
45時間超60時間未満の割増率は、125%にプラスアルファの割増をつけるかどうかは、企業の考え方次第です。財務的に余力がなければ無理でしょうし、「いい人材を確保したいので割増率をアップする」という考えもあるはずです。
また、60時間超の場合は、150%が義務となっていますが、中小企業は平成31年4月以降義務の予定です。(現在は努力義務)
以上、簡単にまとめてみました。また労働基準法が改正になりましたら掲載します。