パートタイマーの雇止め

解雇と合わせてよく問題になるのが、パートタイマーや契約社員等有期雇用契約の雇止めです。期間の定めがあるのですから期間満了で当然契約も終了するはずです。しかし、2008年のリーマンショックで「雇用調整手段に利用している」として社会問題になりました。経営者の皆さんは、契約更新あるいは契約解除する場合の判断基準は明確になっているでしょうか。

厚生労働省の主な指針は以下のようになっています。

1. 最初の契約締結時に契約更新の有無を明示しなければならない。

    ・ 自動的に契約更新する

    ・ 契約更新する場合がある

    ・ 契約更新はしない

2. 「契約更新する場合がある」と明示したときは、「更新する場合」、「更新しない場合」の判断基準を明示しなければならない。

    ・ 契約満了時の業務量によって判断する

    ・ 労働者の勤務成績、勤務態度によって判断する

    ・ 会社の経営状況によって判断する

    ・ 従事している業務の進捗状況によって判断する

3. 契約内容が以下の場合の雇止め予告は、契約期間満了の30日前までに行う。

    ・ 有期雇用契約の更新が3回以上された場合

    ・ 反復更新して最初の契約締結から継続1年を超える場合

    ・ 1年を超える雇用契約をしている場合

4. 雇止めの理由は、契約期間満了という理由とは別に説明が必要。

    ・ 担当していた業務が終了した、または中止したため

    ・ 事業縮小のため

    ・ 業務遂行能力が十分ではないため

    ・ 無断欠勤等勤務不良のため

雇止めが争点になった時、上記手続きが明確であれば有効と判断される可能性は高いと思います。しかし、「前回の契約更新時に『次回は更新しない』という契約内容が記載されているから」 とか 「更新回数の上限を設けてありその上限になったから」 という理由だけでは解雇権濫用を類推適用され認められない場合がありますので注意が必要です。

地域労働組合の勉強会に100人!

先月下旬、ある地域労働組合が開催する労働者向け勉強会の新聞記事を見つけました。当日、500円の会費以外参加者に条件がなかったので、「働く人の側からの主張、考え方を聞いてみたい」と思い、参加しました。

それほど広くない会場に、補助椅子まで並べられ、100人以上が話を聞いていました。勉強会は解雇、雇止めが主な内容でした。働く人々は自分の立場、条件を必死で守ろうと勉強していると感じました。

当然経営者の皆さんからすると、たとえば解雇であればそれなりの理由があるはずです。しかしそれを主張するためには、その対処が法律に基づいたものとして認められる必要があります。やはり経営者の皆さんも勉強が必要と思います。

トラブルは、労使双方にとって時間やコストがかかり不幸なことです。普段から従業員の方々とコミュニケーションをとっていることがなにより重要だと実感しました。