介護事業所向け人事労務サービス

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このページは、介護事業者様に向けて情報発信を行っております。

私は、社会保険労務士(社労士)の仕事をはじめてから、『介護に強い社労士』として介護保険制度の改正に伴う「処遇改善加算」取得・見直しのアドバイス、それに関連する就業規則・給与規程の確認・見直し、1カ月単位変形労働時間制その他労働条件のチェック、在職職員あるいは退職した職員とのトラブル対応、など数多くのご相談を受けてきました。

3K(きつい・汚い・危険)そのなかで最も重要であり難しい問題が「人材の定着」です。 特に介護業界は、3K(きつい・汚い・危険)のうえに給与が低く、他業種と比較して離職率が高いといわれています。

介護業界の労働の現状を調査した結果から、
「介護の仕事を辞めた理由」として、「職場の人間関係に問題があったため 20.0%」、「結婚・妊娠・出産・育児のため 18.3%」、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため 17.8%」、「他に良い仕事・職場があったため 16.3%」、「自分の将来の見込みが立たなかったため 15.6%」と組織に対する不満や個人的事情が並びます。そして6番目に「収入が少なかったため 15.0%」と給与に関する理由を挙げており、一般的に「給与の安さが一番の理由」と思われているイメージと少し異なります。
(【出典】(公財)介護労働安定センター「平成29年度介護労働実態調査」より)

確かに調査自体は本音と建て前を加味して読み解く必要はありますが、以下のような研究もあります。

職場環境心理学者であり経済学者のハーズバーグ[1966]の研究では、給与や労働条件は不満を解消する要因であって、働く動機づけにはならないといいます。一所懸命に働く動機は、「責任:仕事に対して責任を持たされている」、「権限:仕事に対して権限を与えられている」、「承認:自分が取り組んた仕事を認めてもらえる」、そして「仕事:その仕事が楽しい」などが実感できたときです。確かに働くうえでは、より高い給与や労働条件のいい職場を求めることは当然のことですが職場定着には結びつきません。なぜならそういう人は、さらに高い給与やより条件のいい職場環境を求めるからです。
それでは、人材を職場に定着させるためにどのような方法が考えられるでしょうか?

一つの事例をご紹介します。

新幹線清掃チームハーバードビジネススクールの教材としても取り上げられた新幹線清掃チーム「テッセイ(JR東日本の子会社)」という会社があります。新幹線車両とはいえ3Kの清掃作業であり、やる気に満ちた人が応募してくれる仕事ではありませんが、現在、現場で働くスタッフはみんな表情が明るく、やる気にあふれているといいます。

テッセイのスタッフは清掃業務に際して、整列して到着した新幹線に一礼、降車するお客様に一礼、清掃後に乗車するお客様に一礼します。そこには、お客様への感謝の気持ち、長旅の疲れを労わる気持ち、これからの旅の無事を祈る気持ちが込められています。 一連の行動は単なる清掃作業ではなく、新幹線ホームに到着し出発するまでの12分間のうち7分間に、車両清掃、トイレ掃除、ゴミ出し、座席カバーの交換、忘れ物チェックをこなし、快適空間を創造する「技術サービス」を提供する業務と位置付けています。

スタッフ全員が一列に並んで乗降客にお辞儀をすることは直接清掃に関係がなく、そこに抵抗を感じて辞めていく人も多くいます。その中で、「テッセイの仕事は"おもてなし""旅の思い出づくり"」であり「さわやか、あんしん、あったかなサービスを目指す」ことを理解して納得したスタッフだけが職場に残り、今ではお辞儀が会社のシンボルになっています。

テレビや雑誌に取り上げられることが多くなってから、「自分にもできそうだから、取りあえずやってみるか」という程度の気持ちで応募する人も少なくありませんが、当然ながらそういうタイプの人が定着することはほとんどありません。結局定着する人の共通点は、テッセイの理念に共感し、この会社で自分が今まで果たせなかった夢をかなえたいと希望を持った人だといいます。
(以上、『奇跡の職場 新幹線チームの"働く誇り"』矢野輝夫著 あさ出版、『新幹線お掃除の天使たち』遠藤功著 あさ出版)から引用しました。)

さわやか、あんしん、あったかなサービス介護の仕事も同様のことがいえるのではないでしょうか。つまり介護の仕事は、単に身体の介助をすることではなく、例えば「介護サービス」を通してご利用者様・ご家族に「さわやか、あんしん、あったかなサービス」を提供する仕事と位置付け、職員がその考えに共感し、自ら目標・目的を見いだすことができる事業所が職場定着に結びつくことを示唆しています。

結局、職員が職場に定着するか否かは、事業所次第だということです。つまり、代表の想いを明確にし、職員に伝え、その想いに職員が共感できて、職員自身が自分の目標・目的を職場に見いだすことができればきっと永く働いてもらえると考えます。

国は、この数年の間に労基法改正をはじめ「働き方改革」を推進してきました。そして、 2021年4月からは、中小事業者においても「同一労働同一賃金」が施行され、正職員とパート職員に対する新たな対応が求められます。

企業は、時代・環境の変化の中で常に変革が求められます。少子高齢化による人材確保が困難な状況では現在の事業の維持すら危うい深刻な問題です。

景気に左右されず安定した人材の確保に必要なことは何か、当事務所はそれぞれの事業所の事情に合わせた解決策を一緒に考えます。

 
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社会保険労務士よしだ事務所 代表 吉田泰彦

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